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第17回研究会「危機の中の文化遺産」を開催しました(2015.11.24)

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文化遺産国際協力コンソーシアムは、2015年11月5日に、TKPプレミアム神保町にて第17回研究会を開催いたしました。
自然災害、さらにはめまぐるしい経済発展に伴う社会変化などを受け、世界各地には危機に瀕する文化遺産が数多く存在しますが、とりわけ西アジア地域において国際協力を実施する日本の専門家たちが、現在の事態を憂慮していることは言うまでもありません。 このような危機感のもと、西アジア分科会が担当となり「危機の中の文化遺産」というテーマで研究会を開催する運びとなりました。

冒頭において前田耕作副会長による趣旨説明、問題提起が行われた後、基調講演として後藤健氏(西アジア分科会長、東京国立博物館特任研究員)、その後講演1として香西茂氏(京都大学名誉教授)、講演2として西秋良宏氏(東京大学総合研究博物館教授)、最後にパネルディスカッションでは、講演者3名のほか司会として杉本智俊氏(慶応義塾大学文学部教授)、さらにパネリストとして岡田保良氏(国士舘大学イラク古代文化研究所、コンソーシアム副会長)を迎え、充実した議論が行われました。

基調講演は、当初来日を予定していた世界遺産アラブ地域センター長のムニール・ブシュナキ氏の欠席を受けて、後藤分科会長が代読と解説を行いました。その内容は、紛争地帯における文化遺産の現状と、破壊を受けてのユネスコの対応、さらに国連をはじめとした政府・非政府機関との連携体制などを紹介したものでした。また、講演冒頭では、シリアやイラクでの文化遺産の破壊映像資料が放映され、参加者に大きな衝撃を与えていました。

講演1では、国際法がご専門の香西茂氏をお迎えし、武力紛争の際の文化財保護に関するハーグ条約やそれに係る議定書について、成立の経緯と理念、課題についてご講演頂きました。

講演2では、長年にわたり西アジア地域においてフィールドワークを行ってきた西秋良宏氏をお迎えし、考古学者の視点による文化遺産保護体制の構築方法について、ご講演頂きました。

最後のパネルディスカッションでは、「激動する世界と文化遺産保護」と題し、各専門家の先生に昨今の破壊状況に対する措置、解決への糸口について、議論を行って頂きました。 客席から寄せられた「どのようにすれば破壊を阻止できるのか」という最も基本的な課題を軸に、声明文や国際法の活用、アピールなどを通した世論構築の必要性や、現地の人々がもつ宗教観と貧困の問題など、話題は多岐にわたりました。

今回の研究会では、当初予定していた講演者の欠席等プログラムの変更がありましたが、当日は100名を超える方にご来場頂き、本テーマに対する関心の高さをうかがい知ることができました。
研究会開催に際しご協力くださいました関係者の皆様、ならびにご参加くださいました皆様に御礼申し上げます。
※プログラムや開催概要はこちらをご覧ください。

【写真説明】(上から)
1:会場の様子
2:会場の様子その2
3:前田耕作副会長による開会挨拶
4:後藤健氏による基調講演の様子
5:香西茂氏による講演の様子
6:西秋良宏氏による講演の様子
7:パネルディスカッションの様子
8:ディスカッション司会の杉本智俊氏
9:パネリスト登壇者の岡田保良氏
10:石澤良昭会長による閉会挨拶

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