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緊急企画「『2016エクアドル地震』による文化財被害状況報告会」を開催しました(2017.01.06)

12月16日(金)、東京国立博物館平成館小講堂において、緊急企画「『2016エクアドル地震』による文化財被害状況報告会」を開催しました。 本報告会は、本年4月16日にエクアドル共和国マナビ県ペダルナレス村付近を震源として発生した「2016エクアドル地震」(マグニチュード7.8)を受け、国際交流基金の助成により行われた現地被害状況調査の報告を目的として開催されました。詳細は下記の通りです。 報告会冒頭では、石澤良昭会長の挨拶の後、関雄二中南米分科会会長(国立民族学博物館教授)より趣旨説明とコンソーシアムの紹介が行われました。 その後、現地調査に赴いた大平秀一氏(東海大学教授)から、現地の状況が報告されました。 今回の調査は、「2016エクアドル地震」発生の後に中南米分科会委員を務める研究者が中心となって事業の立ち上げが呼びかけられたもので、国際交流基金主催、在エクアドル日本国大使館共催、文化遺産国際協力コンソーシアム協力のもと、9月2日~15日に実施されました。その目的は、地震による文化財被害の実状把握、問題の共有化、今後の国際協力展開についての検討を行うことにありました。 報告の冒頭では、エクアドルの地理、文化遺産の管理体制についての説明があり、その後、震源地マナビ県ペダルナレス付近の沿岸部を中心に12箇所の博物館※1および1箇所の行政機関※2、1箇所の歴史的建造物※3の被災状況について、紹介がありました。 ※1 トゥリペ遺跡博物館、エスメラルダス博物館、カルロス・メルカード・オルティス考古学博物館、ハマ博物館、バイーア・デ・カラケス博物館、ポルトビエホ博物館・歴史文書館、マンタ博物館、サランゴ博物館、人類学・現代芸術博物館、プレスリー・ノートン博物館、レアル・アルト遺跡博物館、アマンテス・デ・トゥンパ博物館 ※2 文化遺産庁マナビ支庁 ※3 カサ・デ・ラ・クルトゥラ(エスメラルダス) 被害のあった博物館で多く見られた状況として、非強化ガラスの展示台の損壊、固定されていない展示品・展示台の転倒による破損、展示ケースの転倒などが挙げられ、また被災した文化財の避難先が見つからず、震災当時のままになっている状況も見受けられました。 管理体制の面では、ほとんどの博物館に専門家が常駐していないため、現地職員が被災文化財の救済措置をとることができていないこと、また被災状況の十分な記録が遅れていることなどが報告されました。 今回の震災による博物館所蔵文化財の被災推定件数は400~500点ほどで、文化財被害の総数としては数千点に及ぶ可能性があるとのことです。 調査報告の後、関雄二分科会長の司会のもと、大平氏、日高真吾氏(国立民族学博物館准教授)を交えた討論が行われました。冒頭に日高氏から「日本における文化財レスキュー事業について」の紹介が行われた後、今回のエクアドル地震に伴う文化財分野における国際協力の可能性について活発に議論されました。議論は、日高氏が提示した被災文化財の救済の流れに沿う形で展開され、初期、中期以降のそれぞれの段階での協力について、技術移転、人材育成、意識啓発などの観点から意見交換がなされました。 特に重要だとして取り上げられたのは、地域住民と文化財の結びつきを(再)構築するという点です。現地の人々が先住民文化の遺物からいかに普遍的価値を見出すか、また、地域ネットワークと密接につながりながら保護体制をいかに構築していくか、が課題として大きく、今後の重要な検討事項として提示されました。結論として、即物的な支援に留まらず、プランニングを含めた長期的な支援を行うことが今後の国際協力として望ましいのではないかとの見解が示されました。 今回の報告会では約25名の参加者がありました。エクアドル地震による文化財の被害状況および今後の課題について知ってもらう良い機会となりました。 報告会開催に際しましてご協力くださいました関係者、並びにご参加くださいました皆様に深く御礼申し上げます。 ※プログラムや開催概要はこちらをご覧ください。 研究会開催に関しまして、ご協力下さいました関係者の皆様、並びにご参加下さいました皆様に深く御礼申し上げます。  

 

 

【写真説明】(上から)

1:石澤良昭会長による開会挨拶の様子
2:大平秀一氏による報告の様子
3:討論の様子
4:討論司会の関雄二中南米分科会長
5:日高真吾氏による発表の様子(討論冒頭)
6:大平氏による発言の様子(討論)
7:報告会会場の様子

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