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王宮前広場(プラサート・スープラとそのテラス)、バイヨン(北経蔵)、アンコール・ワット(外周壁内北経蔵)の保存・修復、及びバイヨン寺院の保存・修復計画の立案

Project for Safeguarding Angkor 王宮前広場(プラサート・スープラとそのテラス)、バイヨン(北経蔵)、アンコール・ワット(外周壁内北経蔵)の保存・修復、及びバイヨン寺院の保存・修復計画の立案

JSA(日本国政府アンコール遺跡救済チーム)、JASA(Japan+APSARA Authority)

カンボジア王国

アンコール遺跡

1994年〜2010年 機材供与,基礎研究,意識啓蒙・普及活動,施設設備,事業計画書,保存修復,地域開発,人材育成,マスタープラン作成
2010/03/01
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BACKGROUND背景

東南アジア的なるものの象徴としてのアンコール遺跡

 アンコール遺跡は,カンボジア王国の伝統文化と国民統合の象徴であることはもちろんのこと,アジアの文化的至宝ともいうべき遺跡である。往時には,アンコール遺跡のひとつであるアンコール・トムは都城として生活の場であり,また他の多くの寺院は信仰の場であったが,実は現代でもこれらはカンボジア国民にとって同様の存在である。その自然や伝統とともに存在し生きる様は,まさにインドシナ,東南アジアの風土と歴史が生み出し,生き続ける特質であり,遺跡の有り様に深く刻まれている。現代の我々に多くのことを語りかけてくる。

国際協力の気運

 しかし,1970年以降の内戦が泥沼化していく中で,徐々にアンコール地方にもその戦禍は及び,アンコール遺跡を含むこの地方は有形無形を問わず伝統文化の崩壊の危機に晒されたのである。長きに渡る混乱の後,1991年のパリ和平協定を経て,1992年アンコール遺跡のユネスコ世界文化遺産登録(同時に危機リストにも登録)が実現する。そしてその後の,息永く地道な活動となる社会復興のプロセスを国際協力として行うため,要務でありまた急務となったのは,国際的にも関心の高いアンコール遺跡救済と,そのための国際協調体制の構築であった。
 日本政府はこうした状況を踏まえ,ユネスコ文化遺産保存日本信託基金によるプロジェクトを推進するために,1994年に日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA: Japanese Government Team for Safeguarding Angkor)結成に到った。

アンコール・ワット北経蔵竣工式風景

バイヨン北経蔵修復風景

ACTIVITIES活動内容

アンコール遺跡保存修復への包括的な取り組み

 アンコール遺跡では多くの修復チームが活動を繰り広げている。各遺構の破損状態,伽藍構成,建物の構造的特徴,建築的もしくは美術的意匠,そして周辺環境は千差万別でありバイヨンにおいては多様な神々の融合が見られる。各修復チームは連携を取りながらそれぞれの遺構に相応しい最善の修復理念と技術を模索している。その中において,特に年2回現地にて開催される,在カンボジア日本およびフランス大使を共同議長,ユネスコを事務局とする「アンコール遺跡救済国際調整会議(ICC)」は大きな役割を担っている。

JSA(JASA)の取り組み

 1994年に始まったJSAの活動も,2005年の第2フェーズ終了時までに延べ700人以上の日本人専門家と常時平均180人以上のカンボジア人スタッフや事務スタッフが共同で保存修復活動にあたってきた。当初より保存修復事業はもちろんのこと,それを通じた現地技術者への技術移転・人材育成にも努め,徐々にその成果も得られている。現在進行中の第3フェーズではこれらの活動の継続として,バイヨン寺院内にて南経蔵の保存修復工事,中央塔の恒久的保存方法の研究,内回廊浮き彫りの保存方法の研究,危険箇所調査を進めている。また,よりカンボジアサイドの自立を高めるための工夫も重ねており,その一つとして,カンボジア政府組織APSARAとJSAの共同チームであるJASAの結成が挙げられる。

         バイヨン中央塔地盤探査

バイヨン中央塔発掘調査

RESULTS結果

保存修復事業とバイヨンマスタープラン

 JSAではこれまでに,バイヨン北経蔵,アンコール・ワット外周壁内北経蔵,アンコール・トム王宮前広場プラサート・スープラN2塔前室及びN1塔の保存修復工事を完成させた。アンコール遺跡倒壊の主要な原因は基壇基礎の不等沈下であり,また多くの遺跡でラテライトの劣化が進行している。これらの修復活動のために,アンコールにおける往時のオリジナル技術を尊重したいという私たちの理想を,述べることは容易であるが実現することは非常に困難であった。カンボジアの若い世代が,この困難ではあるが誇り高き仕事に,近い将来自らの手で立ち上がっていくことを確信し,カンボジアの人々と共に現場で汗を流し,アンコールで働く外国チームの人々や国際専門家達と協力できたことは,私たちにとって素晴らしい成果である。そして,この協調作業の最大の成果が10年かけてできあがった「バイヨン寺院全域の保存修復のためのマスタープラン」である。
 これらの成果を糧に,現在も第3フェーズとして,カンボジアへのトータルでより具体的な保存修復技術の移転を目指し,アンコールの地にて活動を続けている。

人材育成

 上記の成果を基に,保存修復事業を通じた現地技術者への技術移転・人材育成にも努めてきた。 また,シンポジウムや報告書,ホームページを通じて,修復活動や科学的調査の記録を公開することにより,一般の方だけではなく,専門家間の国際交流や情報提供にも貢献している。

バイヨン南経蔵解体の様子

バイヨン・レリーフ保存方法の研究

MAP地図