ホイアン町並み保存プロジェクト

事業名称
ホイアン町並み保存プロジェクト
国名
ベトナム社会主義共和国
期間
1992年~2003年
対象名
古都ホイアン
文化遺産の分類
記念物、 建造物群、 文化的景観
実施組織
昭和女子大学国際文化研究所
出資元
文化庁
事業区分
資金提供、 意識啓蒙・普及活動、 基礎研究、 人材育成、 事業計画書、 保存修復

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背景

Background

元日本人町のあった海のシルクロードの国際貿易港・ベトナム ホイアン

 ベトナムのホイアンは、大航海時代に海のシルクロードの結節点として東洋と西洋を結ぶ中継貿易港として繁栄した町です。当時のホイアンには、ポルトガル・オランダ商館、中国人町、日本人町があったとされ、日本の御朱印船が最も頻繁に訪れた港でもあります。その後、繁栄の中心は河川港ホイアンから湾港ダナンへと移りますが、逆に、このことが幸いして、繁栄の中で蓄積された木造技術による華麗な彫刻を施した木造町家群が後世に残る要因となりました。また、ツボン川に平行する東西の2本の通りを中心とする旧市街の町並みはベトナム戦争の戦禍からは幸いまぬがれましたが、戦後の貧困で建て替えもできず多数の伝統家屋が崩壊寸前で残存していました。このことから、ベトナム政府は日越交流の象徴として国交再開に際し、木造文化財保存に実績のある日本の協力を強く求めてきました。

  • ホイアンの町並み

  • ホイアン・家屋屋内

活動内容

Activities

ベトナム側の町並み保存体制確立への協力

 1992年、文化庁はホイアンへの協力を昭和女子大学国際文化研究所に依頼、昭和女子大学は様々な研究補助金を得て千葉大学・東京大学等の協力を仰ぎ、町並み保存調査を開始しました。同時に、募金活動も開始、当初は民間企業等の寄付金、次に民間財団の補助金、最後は国際協力事業団の支援など、様々な援助を得て家屋修復工事を実施しました。また、文化庁もこれに合わせ(財)文化財建造物保存協会・各県教育委員会・日本建築セミナー等の技術者を派遣し指導を行いました。修復工事に当たっては、現地の技術・材料・方法等を採用することを基本原則としたため、ホイアン市遺跡管理事務所・工務店・ベトナム建設省建築研究所・ベトナム各建築大学・ハノイ国家大学等と比較的スムーズに協力事業が進行し成果を挙げました。

  • ホイアン・家屋修復作業

  • ホイアン・日本橋

結果

Results

観光発展により自立=協力から交流へ

このような町並み保存事業や地元の人々、ベトナム政府の努力により、ホイアンは1999年ユネスコ世界遺産に登録され、2007年には年間観光客が100万人を越えました。町並み保存活動は、1992年当時観光客数2500人と貧困にあえいでいたベトナム中部の経済活性化の一翼を担ったのです。こうした取り組みが評価され、私たちのプロジェクトは2000年には、ユネスコアジア太平洋州文化財保存賞・日本建築学会業績賞・ベトナム文化功労賞他を受賞しました。
 また、2003年には在ベトナム日本大使館の呼びかけにより日越国交樹立30周年記念事業として、8月ホイアン国際フェスティバル&シンポジウムが開催されました。ホイアン市とカンナム省を中心に文化庁・JICA・国際交流基金・ユネスコアジア文化センター・昭和女子大学等が協力、近江八幡川端市長・裏千家大宗匠らの参加もあり盛大に行われました。ユネスコ・イコモスの代表を招いたシンポジウムではHOIAN宣言が採択され、アジアの木造のリビングヘリテージの保存の推進が宣言されたのです。
 このフェスティバルは翌年からJICA青年海外協力隊が協力して毎年実施され、2008年8月には日越国交樹立35周年記念事業として第6回を数えるまでになりました。第7回は2009年8月下旬に予定されており、ホイアンの世界遺産登録10周年を記念し世界各地から文化遺産保護に関わる専門家を招いた国際シンポジウムも企画され、現在日本大使館を中心に準備が進められています。日本から多くの方々の参加が期待されています。

  • ホイアン国際フェスティバル

  • 世界遺産ホイアン展

地図

Map

Projects

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