ベトナムの首都、ハノイ市の中心地で、大規模な皇城の遺構が発掘されました。タンロン皇城遺跡です。この遺跡からは建物に使われた木材が大量に出土しています。これを機にベトナム国内ではベトナム林業大学を中心とした出土木製品の調査とその保存にかんする研究が始められました。東南アジアに生育している樹木は日本のような温帯に生育するものとはその性質が全く異なります。非常に重たくて硬い高密度材や、乾燥によって割れやねじれを起こしやすい木材があります。これまで東南アジアでは出土木製品の調査や保存についての研究はあまりおこなわれてきませんでした。
日本ユネスコ信託基金によるタンロン・ハノイ文化遺産群の保存整備事業(2010~2013年)をきっかけに、ベトナム側から、ベトナム産出土木製品の調査と保存にかんする技術協力が強く要請されました。しかし、日本でこれまで広く用いられてきた出土木製品の保存処理方法を、そのまま適用することは困難です。そこで、文化庁からの受託事業として、ベトナム林業大学、奈良文化財研究所および京都大学生存圏研究所の3者が共同し、ベトナムで出土する木製品の調査と保存処理の技術移転と人材育成を目指した拠点交流事業が始まりました。
この拠点交流事業は、ベトナム出土木材樹種同定に係る共同実験、出土木製品にかんする保存処理方法の検討、およびベトナム全土から出土した木製品調査の実施と国際研究会の開催の3つの項目からなります。熱帯の出土木製遺物の保存処理法の確立という世界的な課題にむけての最初の一歩といえるでしょう。
ベトナム・出土木製品保存に関する拠点交流事業
- 事業名称
- ベトナム・出土木製品保存に関する拠点交流事業
- 実施地域・国
- ベトナム
- 地域
- アジア
- 事業実施機関
- 奈良文化財研究所
- 相手国現地カウンターパート
- ベトナム林業大学
- 期間
- 2013年 ~ 2015年
- 協力の種類・事業区分
- 人材育成
- 資金源
- 文化庁 文化遺産保護国際貢献事業(文化遺産国際協力拠点交流事業)