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シンポジウム「文化遺産の意図的な破壊―人はなぜ本を焼くのか―」を開催しました(2020.02.26)

文化遺産国際協力コンソーシアム(以下、コンソーシアムとする)、および文化庁は2019(令和元)年12月1日(日)、政策研究大学院大学・想海樓ホールにて、シンポジウム「文化遺産の意図的な破壊―人はなぜ本を焼くのか―」を開催しました。

国内外のメディアでも頻繁に報道されているように、古代から続く文化遺産の破壊行為は今日においても止むことがなく、貴重な文化遺産が失われ続けています。
本シンボジウムは、歴史上行われてきた焚書や文化遺産の「意図的な」破壊行為を振り返り、文化遺産を破壊する側の「論理」を探ることで、社会にとっての書物や文化遺産の意義を再考することを目的として、国際社会が直面する課題についても意見交換を行いました。

冒頭に、岡田保良コンソーシアム副会長(国士舘大学イラク古代文化研究所教授)が開会挨拶を行いました。

これに続き、山内和也コンソーシアム 西アジア分科会長(帝京大学文化財研究所教授)より、文化遺産が意図的に破壊された歴史上の事例や、それらを題材とした小説・戯曲等を紹介しつつ、本シンポジウムの開催趣旨が説明されました。

講演1では、鶴間和幸氏(学習院大学文学部教授)より、始皇帝が行った焚書坑儒を中心に、中国古代において書物を燃やすことにどのような意味があったのか、戦争と関連付けた報告がなされました。文書を焼く行為が敵に対する威嚇行為であり、敵を委縮させる政治的効果を狙うものであったことを踏まえて、近年地下から続々と発見されている竹簡等の歴史資料に関する研究の取り組みについても紹介されました。

講演2では、近藤二郎氏(早稲田大学文学部教授)より、古代エジプトで様々な文字記録の抹消がどのような方法で行われたのかについて、石に刻まれた王名を削り取る改ざん行為や、王の系譜を再構成する等の具体例が示されました。また、アレクサンドリア図書館の創設と衰退に関する通説についても言及されました。

講演3では、鐸木道剛氏(東北学院大学文学部教授)より、ユーゴ内戦時の文化遺産の破壊事例の紹介に始まり、日本人の持つアニミズムの感受性や美意識と欧米の物質観とを対比させながら、さらに身近な都市空間などの事例も題材に、文化遺産の破壊行為によって更地化した空間への意識に関する人文学的な考察が展開されました。

講演4では、伊東未来氏(西南学院大学国際文化学部講師)より、マリ北部トンブクトゥの写本の救出と焼失という事件を取り上げ、住民がテロリストに対抗して起こした勇気ある行動や救出の具体的方法を紹介しながら、現地の住民にとって写本がいかなる価値を持つのか、文化人類学者の視点から現地調査に基づく報告が行われました。

パネルディスカッションでは、中村雄祐氏(東京大学大学院人文社会系研究科教授)の司会のもと、活発な議論が展開されました。古代から現代まで行われてきた文化遺産の破壊における共通点、有形および無形文化遺産の観点、個人と集団の精神構造や戦争状態に陥った社会における状況等が整理され、破壊する側の論理について議論されました。また、アーカイブのデジタル化に関して、蓄積された情報の共有等の世界共通の課題も指摘されました。

最後に、青木繁夫コンソーシアム副会長(東京文化財研究所名誉研究員)が閉会挨拶を行い、盛況のうちにプログラムが終了しました。

当日配布した予稿集には、「文化財の意図的破壊に関するユネスコ宣言」(2003年)および「災害リスク削減に向けた図書館関連活動及び紛争・危機・自然災害時の図書館関連活動に対するIFLAの関与の原則」(2012年)の邦訳テキストを掲載し、講演の中では取り上げられなかった関連事項について紹介しています。

当日は200名を超える方にご参加いただきました。本シンポジウムの開催にあたってご協力くださいました関係者の皆様、ならびにご参加くださいました皆様に、改めて御礼申し上げます。

【写真説明】(上から)

1:岡田保良氏による開会挨拶
2:山内和也氏による趣旨説明
3:鶴間和幸氏による講演
4:近藤二郎氏による講演
5:鐸木道剛氏による講演
6:伊東未来氏による講演
7:パネルディスカッション司会の中村雄祐氏
8:パネルディスカッション
9:青木繁夫氏による閉会挨拶
10:登壇者集合写真

 ※シンポジウムの開催概要・プログラムについては、こちらをご覧ください。

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