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ロンヴェーク及びウドン等の保存に関する人材育成

A training program on the conservation of Longvek and Oudong ロンヴェーク及びウドン等の保存に関する人材育成

奈良文化財研究所

カンボジア王国

クラン・コー遺跡

2010年〜2013年 人材育成
2013/03/01
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BACKGROUND背景

解明がもとめられるポスト・アンコール期の都

 アンコール・ワットで有名なカンボジアのアンコール王朝(9世紀~15世紀)は、国内に多く残存する石造建造物や碑文等の研究により、その歴史が徐々に解明されつつある。しかし、アンコールが廃都となった15世紀から、フランスがカンボジアを保護国化するまでの間は、史料が乏しく、これまで考古発掘などの調査もほとんど行われてこなかったため、いまだ謎に包まれた部分が多い。ウドンとロンヴェークは、そのポスト・アンコール期といわれる時代の王都である。
 アンコールが放棄された後、王都はバサン(コンポン・チャム州)、プノンペン(現在の首都)、ロンヴェーク、ウドン(カンダール州)と移動する。ロンヴェークは、16世紀建設、ウドンは17世紀建設といわれる都で、地理的にも近い。本事業は、奈良文化財研究所が、文化遺産保護国際貢献事業として文化庁より受託するもので、カンボジアの考古若手専門家を対象に、考古学調査に関する技術移転をすることを目的としている。同時に、これまで明らかにされてこなかったポスト・アンコール期の都城研究に資することを目指している。

                クラン・コー遺跡発掘の様子

ACTIVITIES活動内容

クラン・コー遺跡の発見

 調査は、2010年に開始された。発掘調査には、王立芸術大学考古学部卒業の若手研究者が参加し、発掘準備と運営に係る測量基準点の設置、地形測量、遺跡の探査、発掘、記録、整理、成果とりまとめ、遺物保存に至るまでの過程を現場で学ぶかたちとした。最初の調査は、ロンヴェーク中心部と、そこから北西15キロの位置にあるクラン・コーという村で行われた。文化芸術省にクラン・コーの村人による緊急的な遺物出土情報があったためである。
 発掘の結果、クラン・コーからは、複数の墓葬と、輸入陶磁器、在地土器、鉄製小刀やガラス製小玉などの副葬品が出土した。クラン・コー遺跡の発見である。また、表面採集遺物には14世紀~16世紀を中心とした輸入陶磁器群も確認されている。ロンヴェークでは、どのような遺構がどれほど残されているのかも不確かなため、遺跡インベントリーと遺跡地図作成を目指し、踏査と表採調査、3地点での発掘を行なった。成果は、文化芸術省と共同で、まとめているところである。

クラン・コー遺跡から検出された墓葬

クラン・コー遺跡から出土した遺物

RESULTS結果

カンボジア若手研究者育成とポスト・アンコール期の新たな研究

 これまで、2010年から現在(2012年10月)までに、計5回の調査・研修がおこなわれた。この間、研修を受講した若手研究者は30 名以上におよぶ。また、本事業での成果を契機に、ポスト・アンコール期の都城、出土したガラスや陶磁器から考察する同時代の交易、クラン・コー遺跡にみられた墓葬に関する研究への関心が、若手研究者のなかで高まっている。また、準備から発掘、成果報告まとめ、遺物整理、保存処理まで一貫した研修を受けた成果として、近い将来、若手研究者主導による発掘もカンボジア国内で実施されることが期待される。
 アンコール王朝期に世界が注目し、研究・支援や協力がアンコール遺跡群に集中するなかで、ポスト・アンコール期の研究は、まだ始まったばかりである。本事業において新たに発見された遺跡の他にも、ウドン及びロンヴェーク周辺には、踏査調査で確認されただけでも50以上の遺構が存在しており、さらなる調査研究が求められている。

遺跡探査研修の様子

クラン・コー村住民への遺跡説明

MAP地図