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遼寧省文物考古研究所との友好共同研究

Friendship Joint Research with the Institute of Cultural Relics and Archaeology of Liaoning Province 遼寧省文物考古研究所との友好共同研究

奈良文化財研究所

中華人民共和国

遼寧省・三燕時代の文物

1996年〜継続中 保存修復,基礎研究
2015/03/01
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BACKGROUND背景

東アジアの古代都城遺跡と保存に関する研究

 中国遼寧省の西部地域には、4~5世紀頃、鮮卑(せんぴ) 族による前燕(ぜんえん) ・後燕(こうえん) ・北燕(ほくえん) という国家が樹立され、これらを三燕と呼び慣わしている。この三燕の時期は、日本では古墳時代に相当し、特に武器や武具などの面で、日本の古墳文化に強く影響を及ぼしたと考えられている。この遼寧省を中心とした三燕時代の墳墓出土品や都城遺跡の調査・研究、ならびに文物の保存と遺跡の保護は中国遼寧省にとってだけでなく、日本の原始・古代史研究にとっても重要な意味を持っている。
 中国では、文物の保護政策が国家的な重要課題となっている。遼寧省文物考古研究所においても、出土品の保存科学分野や大規模遺跡の保存方策の面で、他国の先進的な技術や遺跡保存事例に対する関心が非常に強い。一方、奈良文化財研究所は、出土品の保存科学的研究や保存処理技術分野で、多くの研究成果や技術の蓄積がある。また、平城宮跡の様な大規模遺跡の保存と活用の面でも、実績を積んできている。そうした遼寧省文物考古研究所の関心と、奈良文化財研究所の研究活動とが結びついて、国際的な友好共同研究という形で、双方が協力しながら中国遼寧省の文物や遺跡の調査研究と保存・保護を進めている。

各種鉄製武器・武具など

ACTIVITIES活動内容

中国遼寧省の三燕時代文物の整理と保存

 奈良文化財研究所と遼寧省文物考古研究所は、1996年に「東アジアにおける古代都城遺跡と保存に関する研究―三燕都城等出土の鉄器及びその他金属器の保存研究」という協定書を交わし、友好共同研究を開始した。その後、「3~6 世紀日中古代遺跡出土遺物の比較研究」、さらに「朝陽(ちょうよう) 地区隋唐(ずいとう) 墓の整理と研究」へと継続し、現在2015年度までの計画で「遼西地域の東晋十六国期都城文化の研究」を進めている。主として、奈良文化財研究所と遼寧省文物考古研究所の研究員が活動し、遼寧省文化庁の関係者、遼寧省博物館関係者、朝陽市双塔(そうとう) 区文体局関係者などが、随時参加している。
 遼寧省文物考古研究所と奈良文化財研究所を活動拠点として、奈良文化財研究所が保存処理の基本的技術指導や技術研修を実施し、そのほかに遺物実測技術・撮影技術交流を行った。小型の可搬型蛍光X線分析装置等を用いて、遼寧省文物考古研究所で元素分析を実施したり、小型の3次元計測装置を持ち込んで、遺物の計測をするなどした。撮影方法や実測方法には日中間で差異があり、それぞれの方法や技術に触れることで、相互に刺激し合うという経験交流も図られた。

3次元計測の様子

携帯型の蛍光X線分析装置による測定

RESULTS結果

これからの友好共同研究にむけて

 18年に及ぶ奈良文化財研究所と遼寧省文物考古研究所の友好共同研究は、『三燕文物精粋』、『東アジア考古論集―日中共同研究論文集―』、『朝陽地区隋唐墓の整理と研究』などの刊行物の形で成果を公表している。また、2009年10 月には、奈良文化財研究所飛鳥資料館に於いて、「北方騎馬民族の輝き―三燕文化の考古新発見」展を行った。これは、両研究所が共同で研究と保存処理を実施してきた、喇嘛洞(ラマトン) 墓地出土品を中心とした三燕文物を出展すると共に、その影響を受けた日本の出土品も併せて紹介したものである。また、これは、平城京遷都1300年祭のプレイベントとしても位置付けられ、当研究所の展示にとどまらず、遷都1300年祭をもり立てる一助ともなった。
 現在進行している共同研究は2015年度までの計画であり、当該年度には国際シンポジウム等の開催が予定されている。2016年度以降の計画については未定であるが、友好的な学術交流を深めるために、どのような方向性を打ち出せるのかが課題である。

日中カメラマンによる共同撮影

展示された北票市喇嘛洞墓地Ⅱ区出土品

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