文化遺産国際協力コンソーシアム Japan Consortium for International Cooperation in Cultural Heritage JCIC-Heritage logo JCIC-Heritage

インドネシアの伝統的な木造建造物に係る保存協力事業(アジア・太平洋地域文化財建造物保存修復協力事業)

Cooperation Project for the Conservation of Traditional Wooden Buildings in Indonesia under the Cooperation Project for the Conservation and Restoration of Cultural Properties and Buildings in the Asia-Pacific Region インドネシアの伝統的な木造建造物に係る保存協力事業(アジア・太平洋地域文化財建造物保存修復協力事業)

文化庁

インドネシア共和国

スンバワ島旧王宮

1995年〜2008年 保存修復,人材育成
2010/03/01
NEXT

BACKGROUND背景

インドネシアの木造建造物

 インドネシアの歴史的建造物としては、世界文化遺産に登録されているボロブドゥールやプランバナン遺跡など、石や煉瓦などによる組積造の建造物が広く知られている。その一方で、無数の島々により構成される広大な国土には、多数の歴史的な木造建造物が残されている。例えば各地に建設されたイスラム・モスクや近世都市国家の中心となった王宮の数々、さらには個々の民族ごとに独自の発展を遂げた住居建築などが、インドネシアの歴史文化の多様性、重層性を象徴している。

インドネシアの木造建造物が直面する危機

 このように豊かな文化的多様性を伝えるインドネシアの歴史的建造物ではあるが、近年の経済発展に伴う開発行為などにより、特に木造建造物の保存が困難な状況にある。またインドネシアは日本と同様の地震国であり、さらには高温多雨の気象条件のほか、シロアリなどよる生物被害も甚大で、木造建造物のおかれている保存環境は、日本よりむしろ過酷である。そのような状況を踏まえ、文化庁ではインドネシア共和国文化観光省と連携して、インドネシア国内の木造建造物保存のための伝統的建造物及び集落の保存に関する協力事業を実施している。

スマトラ島ブキティンギの住宅

ACTIVITIES活動内容

実施された調査とスンバワで開始された修復事業

 文化庁で実施している協力事業は、木造建造物の保存修復に関する技術協力と、それに関する人材育成を活動の柱としている。
 はじめに具体的な修復候補物件の選定等を目的として,国内中部以西地域において、木造を中心とする伝統的建造物及び歴史的町並みに関する所在や保存状況に関する共同調査を行った。また日本とインドネシアでは木造建造物の保存に関して異なる歴史的経緯があるため、現地で木造建造物保存修復に関するワークショップを開催するほか、インドネシアの文化財修復担当者を日本に招聘し、木造建造物の調査方法や、それらの修復に関する理念および実践方法について意見を交換するなどして、相互の理解を深める活動を行っている。

スンバワ島の旧王宮の調査と修復

 現在、2001年に取り交わした交流事業に関する覚書に基づき、スンバワ旧王宮の修復事業について技術協力を行っている。この旧王宮は、19世紀に建築された、間口23m奥行31m規模の大型木造建造物で、現在はスンバワ県の博物館となっている。
 2002年、この旧王宮の修復事業について日本側より基本計画を提案し、この計画に基づき、2004年からインドネシア文化観光省による修復事業が開始された。修復事業着手後は、文化庁や財団法人文化財建造物保存技術協会から職員を派遣して、現地での技術協力を行っており、また2006年には修復現場にて開催された「スンバワ木造建築修復保存技術研修」に参加して、インドネシアにおける人材育成活動に協力した。

スンバワ旧王宮全景

木製墓碑を用いた防蟻・樹脂処理の実習

RESULTS結果

スンバワ旧王宮修復事業の経過と課題

 スンバワ旧王宮の修復事業は現在も継続中であり、2010年7月現在、本体部分の工事がおおむね完了し、本年度末の完了を目指している。スンバワ旧王宮は、長大な柱や梁によって雄大な軸部が構成され、また梁や軒廻りには華やかな彫刻が施されており、王宮に相応しい威厳を示している。このような特殊な木造建造物を適切な方法で修復するためには、良質な木材をはじめとする修理用資材や仮設資材、機器類の入手、そして熟練した技能者の確保が不可欠であるが、スンバワ島のような離島においては、それらについて予想以上の経費と時間が費されており、事業全体に与える影響も少なくない。

 スンバワ旧王宮の修復事業に限らず、今後も歴史的建造物の保存修復を安全かつ計画的に実施するためには、このような資材や人材の安定確保のための取組が必要である。

小屋組の修理を行っているところ

彫刻が施された梁の補修について意見交換しているところ

MAP地図