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在外日本古美術品保存修復協力事業

The Cooperative Program for the Conservation of Japanese Art Objects Overseas 在外日本古美術品保存修復協力事業

東京文化財研究所

複数地域・国

在外日本文化財

1991年〜継続中 保存修復
2015/03/01
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BACKGROUND背景

海外に渡った日本の文化財

日本の文化財の役割
 屏風、掛軸、漆器、武具など日本の文化財は欧米を中心に所蔵され、常設展示されているような館も少なくない。これらの文化財は、諸外国の国民が海外の文化に触れる機会を作り、文化の多様性、異なる文化への敬意を学ぶとともに、文化・芸術の国をまたいだ相互作用を知るために役立っている。

海外では困難な適切な修復
 しかし、それらの文化財の保存、展示、修復方法について必ずしも正しい知識が普及しているとは言えない。特に絵画、漆器のような文化財の修復に関しては、材料と技法を熟知している必要があるが、海外には日本の文化財修復の専門家はほとんどいない。さらに修復材料や道具の入手は海外では困難かつ、入手できたとしても非常に購入費用が高くなる。
 そのため、展示できずにそのまま保管されたり、不適切な処置でさらに悪化してしまう場合もある。そのような状態を憂慮する所蔵館では、日本人専門家による処置を検討するが、資金調達、修復技術者の選択も容易ではない。また、例え日本の専門家による修復が実施されることになったとしても、既に海外で不適切な処置をされた文化財の中には伝統的修復技術で対処できないことも多く、専門家が手をこまねくことも少なくない。

現地調査(絵画)

現地調査(工芸品)

ACTIVITIES活動内容

事業のあらまし

事業の歴史
 本事業は、当初、アメリカ合衆国スミソニアン協会フリーアギャラリーとの日本画修復共同事業として1991年に始まった。当時は外務省および文化庁指導の下、国際交流基金と当研究所が主体となって実施した。その後、1993年からは、シカゴ美術館(アメリカ合衆国)、チェスタービーティー図書館(アイルランド共和国)など、他の博物館等にも広がっていった。1998年には漆工芸品の修復も始めた。

事業のプロセス
 広く共同事業を始めるにあたって、まず1994年に在外大使館等経由で対象となりそうな博物館等にアンケートを実施した。アンケートの内容は日本の文化財の所蔵、保管、展示、修復などについてであった。このようなアンケートは1999年、2010年にも実施した。続いて、これらのアンケート結果に基づき、本事業の必要性の高い館から訪問調査を実施する。アンケート以外でも直接相談のあった館等にも対応している。調査は美術史、修復、材料等の専門家からなる調査隊による。その後、文化財としての重要性、修復の必要性などを基準に作品を選定し、修復を行っている。返還時には、保存方法、展示方法、取扱いなどに関しての助言も行う。

事業の特徴
 先述の通り、本事業では正しい知識と技術を持った専門家が修復を行うことが肝要であるため、作品を一時的に日本に輸入して修復を実施している。
 共同事業であるため、所蔵館にも一部費用の負担をお願いしている。

作品の調査と記録(高精細画像撮影)

作品の調査と記録(透過X線画像)

RESULTS結果

これまでの成果

 本事業で現在までに17ヶ国、53館、364作品の修復を行った。
 修復後、作品を展示活用できるということが、本事業の最大の効果であるが、館によっては修復の完了に合わせて、特別展を開催することもある。特に、修復をテーマに展覧会を行う場合もあり、作品そのものの鑑賞と併せ、それ自体が無形文化財でもある日本の伝統的修復技術の紹介にもなっている。
 今後も日本の作品の展示活用の機会が増え、文化交流、平和的相互理解の一端を担えるよう、引き続き事業を行っていく予定である。

工芸品の修復作業(クリーニング)

日本における特別展示

MAP地図