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日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究

Joint Research between the Nara National Research Institute for Cultural Properties and the National Research Institute of Cultural Properties of Korea 日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究

奈良文化財研究所

大韓民国

韓国と日本の都城遺跡

2005年〜継続中 基礎研究
2011/03/01
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BACKGROUND背景

国際共同研究の経緯

 我が国と朝鮮半島(韓半島)とは古より歴史的・文化的にさまざまな関係を持ち続けてきた。1999年、日本・大韓民国(以下韓国)両国における学術・文化交流と親善及び両国文化の共同研究を目的に、奈良国立文化財研究所(当時)と韓国国立文化財研究所は姉妹友好共同研究協約書を締結した。協約書の締結以前から両研究所間には頻繁に学術的交流があったが、協約を正式に交わしたことで継続的に研究員を派遣し共同研究を実施する体制が実現した。2005年にはそれを発展する形で独立行政法人文化財研究所(当時)と韓国国立文化財研究所が研究交流協約書を締結した。その後の組織改組により独立行政法人国立文化財機構が発足した後にも協約を継承し、毎年共同研究に取り組んできたところである。
 奈良文化財研究所と韓国国立文化財研究所は、文化財について多彩な調査研究を行っている。どちらも古代都城遺跡を主なフィールドの一つとして発掘調査を行っていることが特色のひとつといえよう。そのような両研究所の共同研究には、大きく二つの柱がある。一つは「日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究」である。もう一つはその一環ではあるが、国立慶州文化財研究所との発掘調査交流協約書に基づく共同調査である。以下それらを紹介しよう。

研究交流協約書の調印式(2005年)

韓国での研究報告会

ACTIVITIES活動内容

「日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究」

 古代朝鮮半島には新羅・百済・高句麗の三国と伽耶諸国があり、その後に統一新羅が成立する。『日本書紀』などにも見られるように、これらと我が国とは歴史的に深い関係にある。
 奈良文化財研究所は平城宮跡を中心とする平城地区と、飛鳥・藤原地区における遺跡の調査研究について半世紀の実績がある。韓国国立文化財研究所もまた慶州や扶余などの古代都城遺跡を調査研究しており、その学術的成果を相互に活用することができる。そのため共同研究は「日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究」という課題を掲げ、次節に述べる発掘調査交流のほかに、日韓都城制の比較研究と遺構の研究、都城・寺院における出土遺物の研究、古建築の構法・技法に関する復元的研究、遺跡の整備・復元手法に関する研究といったテーマを設定した。このテーマに即して、比較的短期間ではあるが毎年複数の研究員を相互に派遣し、各研究員が専門性を活かした共同研究を行っている。また研究員は訪問先で研究発表を実施することとしている。相手国の貴重な遺跡・遺物を実際に調査し、専門家とディスカッションするまたとない機会である。
 共同研究の成果は日韓の参加者が論考にまとめ、『日韓文化財論集』として出版する。韓国語版を韓国で、日本語版を日本でそれぞれ翻訳出版することで、両国において学術的成果を広く共有することができる。これまで2007年度に第1集を刊行しており、2010年度に『日韓文化財論集Ⅱ』を刊行する予定である。

扶余国立博物館における百済土器の調査

威安・城山山城の視察

RESULTS結果

国立慶州文化財研究所との発掘調査交流

 国立慶州文化財研究所は韓国国立文化財研究所の一つで、新羅の都・慶州の調査研究を主導している。奈良文化財研究所と国立慶州文化財研究所とは「日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究」に基づく発掘調査交流協約書を締結し、2006年度より両研究所が実施する古代都城遺跡の共同調査を実施している。両研究所が毎年1名の研究員を2ヶ月ほど派遣し、相手国のチームに参加してともに発掘調査を行うというものである。
 これまで日本から慶州に派遣された研究員は、統一新羅時代の寺院である四天王寺址や新羅古墳群のチョクセム遺跡、月城垓子などの調査に参加し、日本とは異なる遺跡と調査方法を体験する得難い機会となった。また慶州から来日した研究員は平城宮跡・藤原宮跡・石神遺跡・甘樫丘東麓遺跡などの発掘調査に参加している。参加者の感想を聞いていると、やはり調査・保存・整備など様々な面で考え方や手法に違いがあり、お互いに刺激になるという。この発掘調査交流は滞在が比較的長期なので、研究員相互の交流や日韓の文化を経験する場ともなっている。学術的成果だけにとどまらない両研究所の人的資産の形成、ひいては両国の友好親善にとっても有意義なプロジェクトである。
 このように奈良文化財研究所と韓国国立文化財研究所は、さまざまなテーマで継続的に共同研究を行っている。今後も両文化財研究所は共同研究を推進する予定である。(奈良文化財研究所 石橋茂登)

奈良・石神遺跡の共同調査

慶州・チョクセム遺跡での共同調査

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