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アフガニスタン文字文化財復興支援プロジェクト

Project for Preservation of Written Cultural Heritage in Afghanistan アフガニスタン文字文化財復興支援プロジェクト

東京外国語大学

アフガニスタン・イスラム共和国

アフガニスタンの公文書

2004年〜2009年 人材育成,基礎研究,保存修復,事業計画書
2009/03/01
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BACKGROUND背景

新生国民国家アフガニスタンの新たな出発

 アフガニスタンは、1973年のダーヴードによるクーデタによって220年強に亙ってこの地に君臨し続けたドッラーニー王朝に終止符が打たれた。そして、その時以来、アフガニスタン国民は、約30年間に亙って政変と内戦を繰り返えす苦難の現代史を経験することとなった。その一方で、ダーヴード時代に芽生え始めた、アフガニスタンの国民文化を称揚し、アフガニスタン国民の文化遺産を収集し、顕彰しようとの動きは、人民民主党政権期に更に強まっていった。こうした機運を受けて、国民の過去を伝える文字資料群の収集・保存を同国において中心的に担う機関として、1979年に設置されたのがアフガニスタン国立公文書館である。

必要不可欠な支援

 旧王家や旧司法省、旧議会などから接収された文書資料群を中核として発足した公文書館は、その後も、文字資料の収集作業を細々とではあるが続けた。しかし、それらの整理、保存作業には、資金不足と然るべきスキルをもった人材の欠如、更には、不安定な治安状況に起因する作業環境の不備などの理由により、僅かの例外を除いて、ほとんど手を付けられることはなく、未整理状態のままに放置されてきた。
 しかも、収蔵環境が劣悪であることに加え、紙媒体の劣化が進み、収蔵文字資料群全体が最早、危機的状況に置かれている事は誰の目にも明らかとなっていた。

アフガニスタン国立公文書館

危機に瀕する資料

ACTIVITIES活動内容

プロジェクト発足の経緯

 我々が調査対象に選んだのは、ウランバートルから北西へ約600km、フブスグル県の中心ムルン市から西へ約20kmにある、オラーン=オーシグ山周辺の遺跡である。この山は直径7~8kmの独立丘で、山の周囲に遺跡が多数分布している。これまでモンゴルでは遺跡の立地、分布状況に関する調査がほとんど行われていないので、我々は発掘に先立って分布調査を行った。その結果、山の主として東側と南側に、積石塚や鹿石からなる10の遺跡群を確認することができた。

プロジェクト推進の基本的スタンス

 プロジェクト期間は6年間で、最初の二年間は所蔵内容の全体的な調査および試験的整理作業、続く二年間は本格的整理作業、最後の二年間は保存(具体的には貴重な資料群の複製の作成)を中心とするプロジェクトの仕上げ作業というスケジュールであった。当初、それを実際に担当するのは、日本側の研究者数名が中心となり、これに現地作業者(公文書館職員)の協力を仰ぐという方式を想定していたが、治安が安定しないため、現地渡航が思うに任せず、結局、現地の公文書館職員が主体となって、これに日本側が協力する形で作業を進めることとなった。そのために、公文書館職員5名に対する研修を二度に亙って本邦において実施し、彼らの意識改革にも一役買ったものと思われる。こうした方式は、元々本学が進めてきた「現地との協働」による「非収奪型の資料収集」という理念とも適合するものであり、我々にとっても貴重な経験となった。

作業風景

日本の国立公文書館における研修風景

RESULTS結果

期待される成果

 本プロジェクトは当初の実施期間をまだ一年残しているものの(特別なことがない限り延長を考えている)、現時点において達成しえた内容は以下の通りである。1)全く未整理状態にあった文字資料群に関するジェネラル・サーヴェイを行い、大まかな分類を行った。2)同館所蔵の新聞資料の整理、目録化作業。因みに、所蔵新聞資料は所蔵番号点数としては333点、アイテム数としては101点である。3)同館所蔵の勅令・勅書類(ファルマーン)の整理、目録化作業。同館には全部で1841点のファルマーン類が所蔵されていることが判明。4)これらの内、点数が一番多いアミール・アブドゥル・ラフマーン期(在位1880-1901年)のファルマーン1300点ほどのデジタル化。これらはいずれ、何らかの形で公刊する予定である。
 当館所蔵の文字資料群に関する当プロジェクトのような試みは、これまで全く行われたことがなく、そうした意味で、画期的意義を有しているのみならず、資料的閉塞状況にあるアフガニスタン史(特に近現代史)やアフガニスタン地域研究に新たな地平を切り開くための貴重な情報を豊富に提供してくれる者と期待される。

アフガニスタン最初の新聞(同館所蔵)

同館所蔵の最も古いとされる勅令

MAP地図