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文化庁文化遺産保護国際貢献事業「シリア内戦下における被災文化財に関する調査」

文化庁文化遺産保護国際貢献事業「シリア内戦下における被災文化財に関する調査」

シリア

パルミラ

2016年 意識啓蒙・普及活動
2022/07/25
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BACKGROUND背景

シリア紛争と文化遺産

 中東のシリアでは、2011年3月に起きた大規模な民衆化要求運動を契機に紛争状態へと突入し、すでに10年以上の月日が経過している。シリア国内での死者は50万人に達し、660万人以上が難民となり国外へ逃れている。
 シリア紛争下では、貴重な文化遺産も被災し、国際的に大きなニュースとして報道された。とくに2015年8月から10月にかけて起きたIS(自称『イスラム国』)による世界遺産パルミラ遺跡の破壊は、日本国内でも大々的に報道され注目を集めた。

破壊されたパルミラ博物館(ロバート・ズコウスキー氏提供)

ACTIVITIES活動内容

国際シンポジウムの開催

 そこで東京文化財研究所は、文化庁、奈良文化財研究所、公益財団法人アジア文化センター文化遺産保護協力事務所と共催で、2016年11月20日と11月23日に東京国立博物館および東大寺金鐘ホールにて、シンポジウム『シリア内戦と文化遺産―世界遺産パルミラ遺跡の現状と復興に向けた国際支援―』を開催した。
 パルミラ遺跡は2015年5月からISによって実効支配されていたが、2016年3月にシリア政府軍が奪還、4月にポーランド人研究者やシリア人研究者がパルミラ遺跡に入り現地調査を行った。彼らは、パルミラ遺跡とパルミラ博物館の被災状況を記録したほか、被災した博物館の収蔵品に対し応急処置を施し、ダマスカスまで緊急移送を行った。
 このシンポジウムでは、現地で生々しい状況を目にしたポーランド人研究者やシリア人研究者のほか、国内外の専門家やユネスコ職員が一同に会し、パルミラ遺跡を含む被災したシリアの文化遺産の復興に向けてどのような支援が効果的なのか、討議を行った。
 このシンポジウムには専門家のほか、一般の方も多く参加し、また東京国立博物館でのシンポジウムの様子はTBS『日立 世界ふしぎ発見』などでも取り上げられた。シンポジウムの内容は後日、書籍としてまとめ、雄山閣から『世界遺産パルミラ 破壊の現場から―シリア紛争と文化遺産』(西藤清秀・安倍雅史・間舎裕生 編)として出版した。

シンポジウムの講演者

世界遺産パルミラ破壊の現場から(雄山閣)

RESULTS結果

その後のシリア支援

 その後、日本政府と国連開発計画(UNDP)は、2017年から文化遺産分野におけるシリア支援を開始した。2018年2月からは、奈良県立橿原考古学研究所を中心に、さまざまな学術機関がシリア人専門家を受け入れ考古学や保存修復分野において研修を行っている。
 東京文化財研究所もこの事業に参加し、シリア人専門家を日本に招聘し、2018年には、国立国会図書館と国立公文書館の協力のもと「紙文化財の保存修復」に関する研修を、2019年には「歴史的都市および建造物の復興に向けた調査計画手法」をテーマとする研修を実施した。
東京文化財研究所は、今後もシリア文化財支援活動を継続していく予定である。






熊本被災地にて研修を受けるシリア人研修生

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