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第20回文化遺産国際協力コンソーシアム研究会「世界情勢と文化遺産保護の未来」を開催しました(2017.04.12)

2017年3月24日(金)、東京文化財研究所セミナー室にて、第20回文化遺産国際協力コンソーシアム研究会「世界情勢と文化遺産保護の未来」を開催しました。近年のコンソーシアムでは、文化遺産国際協力というテーマを基軸に、国内協力体制の構築を目的として様々な視点から議論を行ってきました。しかしながら、世界各地で展開される活動を考えるとき、紛争や自然災害等めまぐるしい変化を見せる世界情勢に即した体制づくりを目指さなければなりません。今回は、この問題意識のもと、文化遺産国際協力に携わる方々、および関心をお寄せくださっている方々とともに、世界情勢への理解を深め、平和構築に資する文化財国際協力のあり方を考える機会として研究会を開催しました。

石澤良昭文化遺産国際協力コンソーシアム会長(上智大学特別招聘教授)による開会の挨拶の後、高橋和夫氏(放送大学教授)により「トランプ新大統領と中東情勢」と題して基調講演が行われました。2017年1月に発足したドナルド・トランプ政権の外交方針について、ロシアやイランとの協調路線に見られる矛盾、政権構成人員の特性や、イラクやシリアでの内紛の民族的・宗教的構図の考察が示され、中東問題の抱える課題について整理が行われました。

次に、矢野和之氏(日本イコモス国内委員会事務局長)により「国際協力で必要とされる文化財専門家(コンサルタント、技術者等)の育成」と題した講演が行われました。文化財保存に携わる国内専門家の種類(文化財建造物修理主任技術者、ヘリテージマネージャー、コンサベーションアーキテクト等)について説明された後、日本の文化財保存技術の特性、費用対効果の実状等、多くの現場に携わった氏ならではの考察が加えられました。その上で、国際協力事業実施に伴い従事者が抱える課題として、コンスタントに仕事が提供できる環境づくり、従事者の英語力・国際感覚の向上、事業コーディネート能力の向上等が指摘されました。

続いて、折田朋美氏(JICA資金協力業務部実施監理第二課長)により「文化遺産国際協力と社会・経済開発を通じた平和構築(パレスチナヒシャム宮殿事例紹介)」と題して、JICAが取り組む「ジェリコ・ヒシャム宮殿遺跡⼤浴場保護シェルター建設及び展⽰計画」について、事業立ち上げの経緯、遺跡の概要、今後の計画について報告が行われました。ODAによる文化遺産国際協力活動は、ODA予算の性質から社会・経済開発に資することを前提とする必要がある点、また、今回の案件では文化遺産保護自体の重要性に加え、紛争後の平和構築支援の一環として観光開発事業の位置づけにより実施されていることが説明されました。

その後、前田耕作コンソーシアム副会長司会のもと、講演者3名に対する質疑応答が行われました。客席から集められた質問票をもとに議論が行われ、高橋氏より今後の中東情勢の展望と、それを受けて日本が貢献できることについての意見が述べられました。また折田氏からはJICAと民間企業や研究機関との連携の可能性、文化を通じた開発援助の可能性についての今後の展望が述べられました。矢野氏からは、日本の事業成果の発信についての課題、事業の継続的展開のための企画・マネジメントの重要性等が述べられました。

最後に、前田副会長による閉会の挨拶が行われ、今後の文化遺産国際協力事業の形成にあたっては、世界情勢を見極め、各従事者が培ってきた経験と智恵を出し合いながら、持続可能な案件の形成を目指すことが呼びかけられました。

今回の研究会では約95名の参加者がありました。
研究会開催に関しまして、ご協力下さいました関係者の皆様、並びにご参加下さいました皆様に深く御礼申し上げます。

※プログラムや開催概要はこちらをご覧ください。

 

【写真説明】(上から)

1:石澤良昭会長による開会挨拶の様子
2:高橋和夫氏による講演の様子
3:矢野和之氏による講演の様子
4:折田朋美氏による講演の様子
5:総合質疑応答の様子
6:前田耕作副会長によるの閉会挨拶の様子

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