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第21回文化遺産国際協力コンソーシアム研究会「危機に瀕する楽園の遺産―ミクロネシア連邦ナンマトル遺跡を中心に―」を開催しました(2017.07.28)

21stseminarphoto2017724日(月)、上智大学国際会議場(上智大学四谷キャンパス 2号館17)にて、第21回文化遺産国際協力コンソーシアム研究会「危機に瀕する楽園の遺産―ミクロネシア連邦ナンマトル遺跡を中心に―」を開催しました。

 

ミクロネシア連邦ポーンペイ島に位置する巨石遺構・ナンマトル遺跡は、昨年(2016年)7月に世界遺産リストに登録されましたが、登録までの道のりにおいては、日本の研究者や関係機関による支援が様々な形で行われてきました。

まず、文化遺産国際協力コンソーシアムにおいて、2011年にユネスコ大洋州事務所の要請に応じてナンマトル遺跡を対象として協力相手国調査を実施しました。この調査では、ナンマトル遺跡の現状調査と関係者へのインタビューを行い、遺跡の保存状況と政策的整備などの課題についてとりまとめ、報告書を作成しました。その後、この調査を受けるような形で、日本の研究者や関係機関による世界遺産登録支援の動きが本格化していきました。この一連の成果を振り返るとともに、ナンマトル遺跡をはじめとする大洋州島しょ国の文化遺産が現在直面している課題は何か、どのような協力展開が相応しいのかということを議論するために、本研究会を開催いたしました。

 

研究会の冒頭、石澤良昭 文化遺産国際協力コンソーシアム会長(上智大学特別招聘教授)、髙祖敏明上智学院理事長から主催者挨拶が行われました。続いて、駐日ミクロネシア連邦特命全権大使のジョン・フリッツ閣下より来賓挨拶をいただきました。ご挨拶の中で、これまでの日本の支援に対するお礼と今後の協力関係に対する期待が述べられました。

 

次に、講演が行われ、最初に、趣旨説明として石村智氏(東京文化財研究所無形文化遺産部 音声映像記録研究室長)より大洋州島しょ国の国家が持つ特性や文化遺産の特性について、脆弱性と可能性という双方向からの見解が示され、本研究会の課題設定が明確化されました。

 

続いて、本研究会が主眼としたナンマトル遺跡について、「ナンマトル遺跡世界遺産登録と日本による国際協力」と題して片岡修氏(関西外国語大学国際文化研究所 研究員)より講演が行われました。同遺跡の概要と世界遺産登録までの経緯、世界遺産登録と同時に危機遺産にも登録される要因となった同遺跡の状況について紹介されるとともに、危機遺産からの脱却のために今後取り組んでいくべき課題が具体的に提示されました。

 

さらに、長岡拓也氏(NPO法人パシフィカ・ルネサンス 代表理事)より「ミクロネシアにおける文化遺産保護の取組み」と題して講演が行われました。同氏が運営するNPO法人による取組みとして、現地の無形文化遺産(口頭伝承)を保護するためのインターネットや社会科教材等を活用した普及・啓発活動や、映像記録技術の移転を通した人材育成、現地の州歴史保護局との連携等の活動が紹介されるとともに、住民参加等の課題が示されました。

 

最後の講演として、益田兼房氏(立命館大学歴史都市防災研究所 上席研究員)より「大洋州島しょ国における文化遺産保護と住民参加」と題して講演が行われました。ミクロネシアをはじめとする大洋州地域の文化遺産が直面する開発や整備の問題点が示されるとともに、保護のための管理計画や、自然災害後の復旧・防災のための大洋州全域を対象とした保護体制の必要性が訴えられました。

 

その後のパネルディスカッションでは、松田陽氏(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)を司会に迎え、講演者4名(石村氏、片岡氏、長岡氏、益田氏)をパネリストとして「大洋州島しょ国の文化遺産保護と日本の国際協力」をテーマに議論が行われました。冒頭、司会の松田氏から各パネリストへ大洋州島しょ地域のSWOT分析(=強み、弱み、機会、脅威の分析)の試みが提案され、マイクロステートという特性、文化遺産への住民の関心の低さ、気候変動の深刻な影響、日本との関係性など、様々な角度からそれぞれの見解が示されました。

続いて、会場から回収された質問票に沿って議論が進められました。現地の人々の文化遺産との関わり方、持続可能な観光開発のあり方、そのための人材育成(現地のヘリテージマネージャーに必要なスキル等)等がトピックとして取り上げられ、遺跡に対する価値付けや地理的制約を克服するための質の高い観光サービスの提供、日本の研究機関を活用した招聘研修制度の強化など、様々な提案が出され、いずれもパネリストの現地での経験に裏づけられた具体的な議論となりました。

 

最後に岡田保良コンソーシアム副会長(国士舘大学イラク古代文化研究所長)より閉会挨拶が行われ、盛況のうちに本研究会が終了いたしました。

 

今回の研究会では約84名の参加者がありました。

研究会開催にあたりまして、共催の上智大学アジア人材養成研究センター、ご協力下さいました関係者の皆様、並びにご参加下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。

 

※プログラムや開催概要はこちらをご覧ください。

 

【写真説明】(上から)

 

1:石澤良昭会長による主催者挨拶の様子

2:髙祖敏明理事長による共催者挨拶の様子

3:ジョン・フリッツ閣下による来賓挨拶の様子

4:石村智氏による趣旨説明の様子

5:片岡修氏による講演の様子

6:長岡拓也氏による講演の様子

7:益田兼房氏による講演の様子

8:ディスカッション司会の松田陽氏

9:ディスカッションの様子

9:岡田保良副会長によるの閉会挨拶の様子

10:研究会会場の様子

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