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第29回研究会(ウェビナー)「文化遺産にまつわる情報の保存と継承~開かれたデータベースに向けて~」を開催しました(2021.09.06)

文化遺産国際協力コンソーシアムは、2021(令和3)年8月9日(月・休)に第29回研究会「文化遺産にまつわる情報の保存と継承~開かれたデータベースに向けて~」をZoomウェビナー形式にて開催しました。

 今日、文化遺産に付随する膨大かつ多元的な情報をデータベースに記録することが、デジタルアーカイブをはじめとした記録技術の進化によって可能になるとともに、様々な地で暮らす人々が受け継いできた地域特有の情報をデータベース上で継続的に収集するなどといった双方向的な取り組みも始まっています。本研究会は、国内外で有形・無形の文化遺産のデータベース作成に取り組む具体的な事例を取り上げ、文化遺産にまつわる情報の保存と継承の望ましいあり方を考えるとともに、この分野での今後の国際協力の可能性についても議論すべく、開催されました。

 

 岡田保良副会長(国士舘大学 名誉教授)による開会挨拶・趣旨説明の後、齋藤玲子氏(国立民族学博物館人類文明誌研究部 准教授)が、「フォーラム型情報ミュージアムプロジェクトとアイヌ民族資料の活用」と題して報告しました。2014年から国立民族学博物館(以下、民博)が行っている「フォーラム型ミュージアムプロジェクト」の概要とともに、民博が所蔵する約5000点のアイヌ標本資料を対象とするデータベース構築の軌跡と今後に向けた課題が紹介されました。アイヌ民族資料は貸出需要が増加しており、使いやすく正確なデータベースの公開が求められる一方で、完全性や正確性に課題のある情報も少なくなく、今後の学術研究による再検討が期待されることが言及されました。

 次に、久保田裕道氏(東京文化財研究所無形文化遺産部 無形民俗文化財研究室長)が、「無形文化遺産に関わる情報の記録と活用について」と題し、東日本大震災後に始まった被災地を中心とする無形文化遺産のデータベース化とこれに続く全国を対象とした取り組みである「無形文化遺産アーカイブス」について紹介しました。また、国際協力事業の一環として行われた、インドネシアでの現状調査やネパールでの無形文化遺産データベース作成支援についても報告され、国によって異なる無形文化遺産の捉え方を尊重することの重要性が強調されました。

 続いて、林憲吾氏(東京大学生産技術研究所 准教授)が、「アジア近代建築遺産データベースの40年:その展開・変容・課題」と題し、東京大学生産技術研究所・建築史研究室が40年間にわたって日本と東アジア・東南アジア諸国で行ってきた近代建築の悉皆調査と、これを通じて作成される「アジア近代建築データベース」について報告しました。データベースの発信や価値評価の方法に地域住民の視点や感情が反映されるようになってきたことなどが紹介されるとともに、ボトムアップで情報を更新する仕組みづくりや、デジタルツールを導入した定点観測の実現などが今後の課題として挙げられました。

 これらの講演を受けて、近藤康久氏(総合地球環境学研究所 准教授)の司会のもと、講演者を交えたパネルディスカッションが行われました。ディスカッション前半では、「データベースに何を記録し、何を残すべきか」という観点から議論が行われ、データベースに保存する対象情報を線引きする難しさや、立場によって遺産の価値の捉え方は多様であることが確認されました。ディスカッション後半では、「日本の経験を国際協力にどう生かすか」をテーマに、データベース作成を通じた国際協力の可能性について意見が交わされました。

 最後に、友田正彦文化遺産国際協力コンソーシアム事務局長による閉会挨拶があり、研究会は終了しました。

 当日は、148名の方にご参加いただきました。本研究会の開催にあたり、ご協力くださいました関係者の皆様、参加者の皆様に、あらためて感謝申し上げます。

 

※研究会の開催概要・プログラムについては、こちらをご覧ください。
※研究会を収録した動画は、近日中にYoutubeにて公開いたしますのでしばしお待ちください。

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