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シンポジウム(ウェビナー)「海と文化遺産-海が繋ぐヒトとモノ-」を開催しました(2021.12.17)

文化遺産国際協力コンソーシアム(以下、コンソーシアムとする)は、文化庁との共催により、2021(令和3)年11月28日(日)にシンポジウム「海と文化遺産-海が繋ぐヒトとモノ-」をオンラインにて開催しました。

本シンポジウムは、コンソーシアムが令和2年度から実施している国際協力調査「海域交流ネットワークと文化遺産」と連動して企画されました。ヒトとモノの交流の舞台としての「海」に関わる文化遺産をめぐる、国際的な研究や保護の動向ならびに取り組みの事例を紹介し、この分野での国際協力に日本が果たしうる役割についても議論することを目的としました。

友田正彦(文化遺産国際協力コンソーシアム 事務局長)による開会挨拶に続いて、石村智氏(東京文化財研究所 無形文化遺産部 音声映像記録研究室 室長)が趣旨説明を行い、海に関わる文化遺産は水中文化遺産だけでなく、海を越えて運ばれた遺物や、港湾都市の景観、さらには造船技術や航海術などの無形文化遺産まで広く含まれることが紹介されました。

最初に、佐々木 蘭貞氏(一般社団法人うみの考古学ラボ 代表理事)が、「沈没船研究の魅力と意義―うみのタイムカプセル」と題して講演し、過去から今日まで物流の基本は海運であり、それを支える船舶は流通・経済・社会の基盤を成してきたことを強調しつつ、当時の航海の様子や交易のメカニズム、船の構造を知ることができる遺跡である沈没船を研究することの歴史と意義とともに、それらの遺跡を探査するための手法が紹介されました。

講演2では、木村 淳氏(東海大学 准教授)より、「海の路を拓く―船・航海・造船」と題し、沈没船遺跡で検出される船体やその材料から明らかになる各時代、各海域での造船技術の特徴が紐解かれました。長期間の航海に耐え、積載能力にも優れた船を求めた構造上の発展など、これまでの調査によって明らかになってきた造船技術について報告されました。

講演3では、田村 朋美氏(奈良文化財研究所 都城発掘調査部 主任研究員)より、「海を越えたガラスビーズ ―東西交易とガラスの道」と題して報告されました。考古遺物のガラスビーズの製作技法や化学組成の分析結果から推定される生産地や流通時期について概観しつつ、日本列島に伝来したガラスビーズの具体的な流入時期と経路(ガラスの道)について、アジアをはじめ世界各地での出土品との比較による最新の研究成果が紹介されました。

講演4では、四日市 康博氏(立教大学文学部 准教授)より、「海を行き交う人々―海を渡ったイスラーム商人、特にホルムズ商人について」と題して報告されました。13~14世紀のインド洋海域世界で海上貿易活動の主導権を握ったイスラーム商人、特にホルムズ商人に焦点を当てて、漢語・ペルシア語・アラビア語などの文献史料の検討と現地調査の結果から推測される、イスラーム商人の広域にわたる活動の軌跡が考証されました。

講演5では、布野 修司氏(日本大学 生産工学部 客員教授)より、「海と陸がまじわる場所―アジア海域世界の港市:店屋(ショップハウス)と四合院(コートハウス)」と題して報告されました。陸域と海域の境界に立地して両者を媒介する場所である港市について、港市の形態、住区の構成、住居形式に着目しつつ、アジア海域世界の港市ネットワークの形成を世界都市史の諸段階に照らして振り返った上で、店屋と四合院という住居形式を例に、港市ネットワークを通じた文化の伝播の様相が紐解かれました。

これに続き、フォーラム「海によってつながる世界」が行われました。上記講演者のほか、周藤 芳幸氏(名古屋大学 人文学研究科 教授)伊藤 伸幸氏(名古屋大学 人文学研究科 助教)が加わり、石村氏の司会のもと、活発な議論が展開されました。セッション1では東西の交流・海と陸の交流について、セッション2では船と技術について、登壇者間で相互に質疑応答を行いながら議論されました。セッション3では視点を地中海世界や新大陸世界にうつし、古代から近現代にかけての海域ネットワークの様相が説明されました。また、セッション4では、水中文化遺産研究の国際動向や、登壇者による東南アジア等でのフィールド活動などを踏まえて、海と文化遺産に関する国際協力について、今後の展望が紹介されました。

最後に、山内 和也氏(帝京大学 文化財研究所 教授)が閉会挨拶を行い、人間が海へと漕ぎ出し世界を繋げてきたことを示す物証として世界各地に残されている、海にまつわる文化遺産を保護することの重要性が改めて強調されました。

当日は200名を超える方々にご参加いただきました。本シンポジウムの開催にご協力いただいた関係者、ならびに参加者の皆様に、主催者より改めて御礼申し上げます。

※シンポジウムの開催概要・プログラムについては、こちらをご覧ください。
※シンポジウムの報告書は、こちら
※シンポジウムを収録した動画は、コンソーシアムYoutubeチャンネルにて公開しています。ぜひご覧ください。

 

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