Cultural Heritage文化遺産国際協力活動とは

文化遺産は人類共通の財産であり、国境を越えて未来へ引き継ぐ責任があるという認識から、官学民の関係者が力をひとつに結集して文化遺産の保護に関わる国際的な協力を推進しています。

文化遺産国際協力の背景

Background

     

バーミヤン渓谷・東大仏の痕跡

アフガニスタン

気候変動の影響で森林化したバガン遺跡

ミャンマー

植生による浸食を受けたタネイ遺跡

カンボジア

津波で被災したモスク

インドネシア

国際協力が必要な理由

世界各地には、戦乱や紛争、気候変動、自然災害、貧困などにより、存続の危機にさらされている貴重な文化遺産があります。危機に瀕した人類共通の遺産を保護したいという想いは、当事国はもちろん世界共通の強い願いです。しかし、技術的、財政的、その他様々な要因により、一国だけでは文化遺産を守ることができないケースが少なくないのが現実です。現代では様々な分野でグローバル化が進み、持続可能な社会の実現が求められている一方で、いまなお紛争が続いている地域もあります。そのような時代にあって、国境を越えた枠組みで人類共通の遺産を保護していこうとする活動は、長い歴史で繰り返された破壊・消失への反省を背景としつつ、多様な価値への理解や気候変動への対応等、様々な社会課題に対して国際的に協働していく上で非常に重要な役割を果たしています。

Story

文化遺産の保護を巡って、国境を超えた国際的な協力の必要性が世界に認識されるようになった大きなきっかけは、エジプトのアブシンベル神殿救済のための国際キャンペーンです。1960年代に、ナイル川上流でのアスワン・ハイダム建設にともなってアブシンベル神殿がダム湖底に沈むことになり、これを救うためにユネスコが世界に呼びかけて神殿救済のための国際キャンペーンを行いました。
その結果、アブシンベル神殿は安全な場所に移築され、水没を免れることができたのです。これをきっかけに人類共通の財産である文化遺産保護のための国際協力の必要性が認識されるようになりました。そして、この流れをうけ、1972年に「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」がユネスコ総会で採択されたのです。

国際協力の担い手

Actors

     

コカナにおける祭礼の聞き取り

ネパール

バーミヤン遺跡での発掘調査

アフガニスタン

ブルジュ・アル・シャマリ地下墓の壁画修復

レバノン

ホイアン市民交流日本祭り

ベトナム

マンダレーでの実地研修

ミャンマー

活躍する人々

文化遺産の国際協力には、幅広い分野からの横断的な協力が不可欠です。調査研究する人々、保存修復する人々、制度や施策を構築する人々、地域の人材を育成する人々など、公共、民間を問わず多種多様な専門家たちが力を合わせています。
国際的にも高い水準にある日本の保存修復技術を活用するため、日本人専門家が携わるとともに、将来は現地の人々が自分たちの手で自国の文化遺産を守っていくことができるよう、持続的な保存修復のための人材育成に力を入れています。また、これら日本の大学や研究所の諸機関、専門家の力をひとつに結集しようと、国内ネットワーク構築組織である文化遺産国際協力コンソーシアムが2006年6月に設立されました。
これにより文化遺産国際協力に携わる官学民の関係者と専門家がネットワークで結ばれ、効率的に連携を図ることが可能になりました。世界でも類をみない体制が整ったのです。

文化遺産国際協力に係る政府予算(令和4年度)

  • 文化庁 3億5,100万円
  • 外務省 18億3,400万円
    ※従前の「文化遺産保存日本信託基金」、「無形文化遺産保護日本信託基金」及び「人的資源開発日本信託基金」を統合した「ユネスコ拠出金」の拠出額。「ユネスコ拠出金」は文化遺産に限らず、教育、自然科学、人文・社会科学、文化、コミュニケーション・情報といったユネスコが所掌する専門分野において、日本が得意とする技術や知識等を提供する形で戦略的にプロジェクトを実施するもの。

民間助成財団による支援

海外の文化遺産保護に関する調査研究や保存修復に関連し、我が国では主に以下の財団が助成を行っています。

  • 住友財団 海外の文化遺産保護に関する調査研究や保存修復に関連し、我が国では主に以下の財団が助成を行っています。
  • トヨタ財団 東アジアおよび東南アジアを対象とする政策提言型の活動
  • 文化財保護・芸術研究助成財団 文化財の保護及び芸術研究に関する国際的な交流、協力
  • 三菱財団 人文社会系領域での実証研究
Heritage

当ウェブサイトでは、ウェブサイトの利便性向上のためにCookie(クッキー)を使用しています。Cookieの利用にご同意いただける場合は「同意する」ボタンを押してください。「拒否する」を選択された場合、必須Cookie以外は利用いたしません。必須Cookie等、詳細はサイトポリシーへ