東南アジア5カ国石造遺跡保存修復をめぐる議論
(A)「メコン流域文化遺産プロジェクト」は第1に文化財の保存修復関係者のネットワークづくりを目指す:その目的と方法論から:①東南アジア大陸部メコン川流域の石造遺構の保存・修復を介した専門家の人的ネットワークづくり ②東南アジア5カ国に存在する石造建造物遺跡の調査・研究・保存・修復という具体的な作業現場の活動を通じてカントリー・レポート発表、③建築時における地域の伝統技法解明と検証の報告、④新修復技法による修復事例の報告、⑤修復箇所の経過観察報告、⑥担当者が描く遺跡の地球文明史的位置づけ・仮説、⑦修復作業報告(現地語)、⑧この東南アジア5カ国と日本の共同作業を通じて東南アジアと日本との間の技術移転、強固な人的信頼関係を構築。⑨当該国スタッフたちによるカントリー・レポートが深く掘り下げられ、⑩建造物の修復と考古発掘調査により、当該地域の文化遺産の持つ歴史や地域文化や特性を科学的に明らかになる。⑪個々の文化遺産の個性や特色を把握するためには、世界史規模の視座の中で、地域的・時代的・サブジェクト別の比較研究が不可欠である。⑫この目的達成のためには、「遺跡の保存・修復」という直接「モノ」に関わる側面と、「技術者・研究者の養成」という「ヒト」に関する側面との両方を同時並行に行うというアプローチをとった。⑬研修および調査・研究・報告会の会場は日本を離れ、同じ東南アジアのカンボジアに在る上智大学アジア人材養成研究センターを拠点とする。⑭5ヵ国の出席者の研修場所は、アンコール・ワットおよび考古学系はバンテアイ・クデイ遺跡とする。