インカ国家とエクアドル南海岸域の関係をめぐる実証的研究

事業名称
インカ国家とエクアドル南海岸域の関係をめぐる実証的研究
実施地域・国
エクアドル
地域
中南米
文化遺産の分類
考古遺跡
事業実施機関
東海大学文学部
期間
2003年 ~ 2006年
協力の種類・事業区分
学術調査・研究
資金源
科研費

活動内容

本研究課題は、エクアドル南部のアンデス西斜面、標高1800mの地点に配されたインカ国家の行政センター、ラ・ソレダー遺跡の発掘調査を基盤とし、周辺域の一般調査・発掘調査を加えながら進められたものである。
発掘調査を通して、ラ・ソレダー遺跡は、建設途上で放棄されていることが明らかとなった。一度建設された構築物を埋め、その上に短期間のみ居住していた状況も確認されているため、遺跡は何らかの非常事態に襲われたものと判断される。この状況は、同遺跡の東方約6kmの地点に位置するミラドール・デ・ムユプンゴ遺跡で得られているデータと一致するものである。ムユプンゴ遺跡では、遺跡の人工的破壊の痕跡が明瞭に認められることから、別の社会集団から襲撃を受けていることが示唆されている。
ラ・ソレダー遺跡も含め、アンデス西斜面上には、3000〜5000基の墓が構築されている。複数個所においてこれらの墓の発掘を実施したところ、惨殺された痕跡を明瞭に示した遺骸が出土し、インカ様式ならびに初期植民地時代の副葬品を伴っていた。
以上の状況より、ラ・ソレダー周辺域を開拓しながらエクアドル南海岸部に迫っていたインカ国家は、何らかの理由により大規模な襲撃を受け、途上でその開拓を放棄したこと渉明らかとなった。16世紀のスペイン語文書には、先住民間の大規模な戦争に関する記述が残されている。その痕跡が遺跡で確認されたのは、学界で最初のことである。今後、襲撃の相手の特定、ラ・ンレエダー〜トメバンバ間の領域や海岸部の調査・研究などを進め、インカ国家の拡大をめぐる諸相を実証的に解明していく必要がある。
なお本研究課題では、1800m程度の丘で、カパクチャと呼ばれる儀礼で生贄に捧げられた少女の墓も検出した。同様のデータは、これまで6000m級の雪山においてのみ若干例知られているが、こうした低所での事例が提示されたのは、学界ではじめてのことである。

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