過去の文化的交流は貿易に付随することが多く、貿易史を具体的に示す歴史資料が遺跡から発見される出土品である。アジアの古代西側世界の海上貿易はペルシア湾と紅海が拠点の一つであった。この地域における東西アジア世界の文化交流史研究は、実体を裏付ける遺跡や遺物がほとんど具体的に研究されていない。本研究は、すでに分かっているような錯覚がある分野で、新たな具体的事実を遺跡の中から取り上げ、地域間の比較検討を軸に、実証的な研究成果を挙げることを目的とした。目に見える具体的な研究成果を挙げるため、欠けている研究項目の実体調査を現地で行った。アラビア半島ペルシア湾岸の地方拠点都市遺跡コールファッカンの砦と都市遺跡やコールカルバの町跡を発掘調査し、さらに各地の遺跡を踏査して資料採集を行った。同時使用された各地の産物の組み合わせと数量を明らかにし、居住者の従事した産業と生活の状態を推定しながら、生活の中で使用された海上貿易によって運ばれた具体的な物の数量や重量、用途、産地等を復元しつつある。これまでの発掘による出土品を現地で整理し、復元や統計的な処理を継続的に行い、報告書用の図と写真を作成した。併せて陶磁器の釉と素地の岩石学分析を日本で行った。国内においては関連資料の調査研究を行い、分析検討等を実施した。それらの総合的成果の刊行は数年後を予定しているが、研究年度内にその核となる論文、報告を刊行している。
ペルシア湾と紅海の都市遺跡比較から見る古代海上貿易史研究
- 事業名称
- ペルシア湾と紅海の都市遺跡比較から見る古代海上貿易史研究
- 実施地域・国
- アラブ首長国連邦
- 地域
- 中東
- 事業実施機関
- 金沢大学文学部
- 期間
- 2000年 ~ 2003年
- 協力の種類・事業区分
- 学術調査・研究
- 資金源
- 科研費