本研究は、アジアの歴史的建造物が現在どのような状況で残存し、それは当初どのように計画され、それをどのように保存、修復するか、という課題を念頭に、いくつかの地域において基礎的な調査、分析を行なうことが目的であった。
我々は初年度にタイのクメール期寺院建築を、次年度にインドネシアのヒンドゥー・ジャワ期寺院建築とヴェトナム・フエの阮朝期の王宮を、そして最終年度(本年度)に7〜12世紀のインド北方型および南方型寺院建築を対象とし、現状の実測調査、設計方法の復原考察、保存修復方法の取材及び考察を行なってきた。
実測調査を行ない、図面を作成して現状を記録した対象の数は、タイが21寺院45棟、1都市遺跡4棟、インドネシアが29寺院35棟、ヴェトナムがフエ王宮全域、そしてインドが5寺院39棟である。実測調査は測量器具を(許可される範囲内で)併用し、出来るかぎり精密に行なった。
こうして得た実測調査資料をもとに、我々は遺構の建築学的考察、当初の建築設計方法の復原考察、失われた遺構の復原考察を行なっている。現在までに得られた内容は
(1)タイのクメール期寺院建築
クメール寺院の伽藍構成の分類、変遷に関する新解釈、クメール建築の構造法に関する考察、伽藍全体規模の規定法の解明と単位寸法の発見
(2)インドネシア・ヒンドゥージャワ期寺院建築
チャンディ・サンビサリ寺院伽藍の配置計画復原、チャンディ建築平面の類型化、モールディングと期壇の類型化
(3)ヴェトナム・フエ王宮
フエ王宮皇城北闕台の復原考察、フエ王宮で用いられた尺度の復原、配置に関する寸法計画の分析
(4)インド・7〜12世紀北方型・南方型寺院建築
北方型寺院の伽藍配置方法、平面設計方法、立面設計方法の復原考察などである。
我々は本研究で得た資料の分析を継続する一方、本研究をもとに新たな展開、すなわちより精査な調査研究と実際の保存修復活動へのフィードバック、を行なうことを期している。
アジアの歴史的建造物の修復・保存方法に関する基礎的研究~南アジアと東南アジアの比較を通して~
- 事業名称
- アジアの歴史的建造物の修復・保存方法に関する基礎的研究~南アジアと東南アジアの比較を通して~
- 実施地域・国
- インド
- 地域
- アジア
- 文化遺産の分類
- 歴史的建造物
- 事業実施機関
- 早稲田大学理工学部
- 期間
- 1993年 ~ 1995年
- 協力の種類・事業区分
- 学術調査・研究
- 資金源
- 科研費