インド共和国にあるアジャンター石窟寺院には貴重な壁画群が存在する。しかし、石窟内部で広く確認される黒色物質が、壁画上に粘着して土壁そのものを溶解して壁画を消失させるという深刻な被害をもたらしており大きな問題となっている。本研究では、現地から採取した黒色物質の微生物および理化学性解析から、①黒色物質は微生物バイオフィルムであり、②黒色物質のある土壁ではセルロース量が減少していること、などが明らかとなった。かつて石窟内にいたコウモリの糞尿による水分や有機物の供給が微生物バイオフィルムの基となり、バイオフィルム内の微生物がスサを分解して壁画の剥落(消失)が引き起こされていたのではないかと考えられた。
インド・アジャンター石窟壁画消失メカニズムの解明に向けた微生物生態学的調査
- 事業名称
- インド・アジャンター石窟壁画消失メカニズムの解明に向けた微生物生態学的調査
- 実施地域・国
- インド
- 対象とする文化遺産の名称
- アジャンター石窟
- 地域
- アジア
- 文化遺産の分類
- 考古遺跡
- 事業実施機関
- 東京文化財研究所
- 期間
- 2012年 ~ 2015年
- 協力の種類・事業区分
- 学術調査・研究
- 資金源
- 科研費