本研究は、仏教美術がインド・中央アジア・中国・韓国・日本へと伝播し、変容、展開する様相を、「交流と伝統」という複眼的な視点によって明らかにすることを目的とし、特に(1)本生図、(2)仏伝図、(3)浄土教美術、(4)六道の美術のテーマを重点的に取り上げた。これらは仏教美術の主要なテーマであるばかりか、インドから東アジアへの仏教美術の伝播において、大きな変容と展開を見せるからである。
(1)本生図については、インドにおいて輪廻転生と業の考えを基軸にした説話図から、中国で六波羅蜜の実践を強調する説話図へと変化する様相、またガンダーラで釈迦の生涯の始まりとしての「燃燈仏授記本生図」が成立し、その後授記思想として展開する様相を明らかにした。
(2)仏伝図については、「降魔成道図」と「涅槃図」を中心に考察し成果を得た。「降魔成道図」では、魔王、魔衆、魔王の娘、地天の図像を軸に交流と地域ごとの特徴を明確化し、インドから中央アジア、中国での変化を跡づけた。「涅槃図」については、ガンダーラで小乗『涅槃経』に基づく説話的な伝記表現として発展し、その後、インドや中央アジアでストゥーパ信仰や弥勒信仰と結びつき、また中国唐代に『摩訶摩耶経』や大乗『涅槃経』に関わる図像が発展する様相を明らかにした。
(3)浄土教美術に関しては、ガンダーラにおける浄士図の発生の様相、また中央アジアにおける観想の実践と絵画との関係、、中国北斉〜初唐期における浄土図と『観無量寿経』との関係、中国・韓国・日本における観経変の展開などについて考察した。
(4)六道の美術に関しては、中国と日本の六道絵の比較検討、地蔵十王図と水陸画との関係、人道不浄相図や九相詩絵巻と観想との関係などを考察し、「交流と伝統」の視点から中国と日本における繋がりと独自性のを明らかにした。
交流と伝統の視点から見た仏教美術の研究-インドから日本まで-
- 事業名称
- 交流と伝統の視点から見た仏教美術の研究-インドから日本まで-
- 実施地域・国
- インド
- 地域
- アジア
- 文化遺産の分類
- 考古遺物・美術品・歴史資料
- 事業実施機関
- 龍谷大学、名古屋大学
- 期間
- 2004年 ~ 2007年
- 協力の種類・事業区分
- 学術調査・研究
- 資金源
- 科研費