本研究は東アジアにおける水田農耕と社会との歴史的・文化的な関係を明らかにするものである。とりわけ、東アジアにおける日本の位相を明確にすることを目的とし、分析を進めるにあたって、その視点を宗教的儀礼と村落景観に定め、具体的なフィールドを設定して研究の深化を図った。日本はインド文化の東限の地として知られるが、その位相を明確化するために東西の軸として中国と日本を設定し、水稲文化と仏教文化の伝播を中心に考察を行った。南北の軸としては、日本とインドネシア・バリ島を設定し、水田農耕や村落景観の究明を行った。前者については日本の東大寺を中心に据え、仏教文化と稲作との関係を考察し、東大寺境内での調査を実施して、2004年11月27日にはシンポジウム「古代・中世仏教寺院の水田開発と水稲文化」を実施した。また、2005年10月29日に実施したシンポジウム「ジャポニカの起源と伝播」においては、コメ作りのルートとして南方ルートを重視しつつ、日本の位相を考察し、古代から近世までの状況の一端を明らかにし得た。東西軸は、国家による仏教、国家による水利灌瀧が考察の対象となり、アンコールワットを中心とするカンボジアの調査がこれに大きく貢献した。
南北軸については、インドネシア・バリ島での調査・研究を深めるとともに、愛媛県弓削島の調査を進めることができた。バリ島では、東部のバサンアラス村においてスバック・バサンアラスの報告書を入手することができ、水利に関する村の共同体として知られているスバックの現地報告書を日本で初めて全面的に翻訳し、「講座水稲文化研究II バリ島の水稲文化と儀礼-カランガスム県バサンアラス村を中心として-」に他の論文とともに掲載することができた。
以上のことから東アジアの水田農耕社会の基盤部分が明らかになったといえよう。
東アジア村落における水稲文化の儀礼と景観
- 事業名称
- 東アジア村落における水稲文化の儀礼と景観
- 実施地域・国
- 複数国/地域横断
- 地域
- アジア
- 文化遺産の分類
- 文化的景観
- 事業実施機関
- 早稲田大学
- 期間
- 2004年 ~ 2007年
- 協力の種類・事業区分
- 学術調査・研究
- 資金源
- 科研費