在外日本絵巻の調査研究-大英図書館およびベルリン国立図書館所蔵日本絵巻を中心に-

事業名称
在外日本絵巻の調査研究-大英図書館およびベルリン国立図書館所蔵日本絵巻を中心に-
実施地域・国
複数国/地域横断
地域
欧州
事業実施機関
聖徳大学
期間
2007年 ~ 2008年
協力の種類・事業区分
学術調査・研究
資金源
民間財団

活動内容

1.研究の背景・目的
代表研究者は、1980年末以降一貫して在外日本絵巻の総合的研究に取り組み、海外に所蔵されている絵巻物の善本を発掘して、稀覯性の高い新資料の収集と本文研究を行い、学会に提供してきた。本課題は写本史料の存在を探る作業を継続しながら、写本の本文翻刻に留まらず、従来は試作的にしか行われてこなかった史料の影印(写真)(省略)刊行を目的とするものである。それを困難にしているのは、所蔵者側の意向にもまして、資料購入・出版費用に関わる問題が大きいことにある。
作品全体のカラー影印刊行が見られるようになったのは、わずかこの数年であろうが、これは物語・草子の研究を推し進めたといえよう。すなわち、これまでの日本文学研究において手付かずであった絵と詞の問題がようやく取り上げられるようになったのである。ひいては今後、筆跡や料紙についても論じられるようになり、書誌学研究・美術の面にも広がりをみせるであろう。拙著『スペンサー・コレクション蔵日本絵巻物抄付、石山寺』(2002)・『在外日本絵巻の研究と資料続編』(2006 笠間書院)の刊行もこの趣旨によるものである。

2.研究の方法・成果
(1)ベルリン国立図書館所蔵写本の調査研究(2007.9.24.~27.):
 1) 月王・乙姫物語 2) 元輿寺縁起 3) 蓬莱物語 4) おちくぼ
(2)アイルランド・イギリスにおける写本調査研究(2008.3.16.~3.31.):
1)「奈良絵本・絵巻国際会議 ダプリン大会」会場 チェスタービーティー・ライブラリー大会参加と同図書館所蔵絵巻の調査。
2)大英国書館所蔵写本の調査研究
3)大英博物館蔵「息吹童子」の調査研究
(3)国内写本の調査研究:
1)某氏蔵『俵藤太物語絵巻』(5軸)と群馬県立歴史博物館蔵『俵藤太物語絵巻』(5軸)の調査研究
2)松井文庫所蔵「小倉山荘色紙和哥」の調査研究(08.7.30.)
(4)その他
上記に関する講演・研究発表に以下のものがある。
1)平成二十年度全国大学国語国文学会 夏季大会 会場 和洋女子大学(08.6.4.)
パネルディスカッション・テーマ「日本語・日本文学研究と国際性の問題」のバネリストとして「ヨーロッパの日本学・日本文化研究の現状―ドイツ語圏およびオランダ・イギリスの過去・現在・将来-」と題して報告した。その詳細は全国大学国語国文学会編『文学・語学』第192号(08.11.)に、「日本語・日本文学研究と国際性の問題」(24~36頁)として掲載された。
2)「在外日本絵巻をたずねて―仮説と実証のはざまで―」大東文化大学日本文化学科特別講義 会場 板橋校舎 中央棟多目的ホール(08.6.23.)
3)平成二十年度全国大学国語国文学会 冬季大会 会場 関西学院大学(08.12.6.)
発表題目:「大英図書館蔵『源氏物語詞』の周辺」
4)奈良絵本・絵巻国際会議ワシントン大会 会場 フリーア美術館(09.3.26.)
発表題目:「大英図書館蔵『源氏物語詞』成立の背景」

3. 将来計画・課題
書誌学的基礎研究をはじめ論文発表を継続し、平成22年度中に『在外日本絵巻の研究と資料続続編』として出版する予定である。今後に残された課題として、未入手の善本の購入がある。(完)

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