1. 研究の背景・目的
本研究は、アフガニスタンの情報・文化省(現在の文化・青年省)から2003年6月に提示された、アフガニスタン国立公文書館(同省管轄)所蔵の文字史・資料類の調査・整理・保存に関する協力要請を受けて企画されたものである。同年8月には八尾師がその実現可能性に関する調査を行い、2004年5月には東京外国語大学と同省との間で本件に関する基本合意書が取り交わされた。
基本合意書にも謳われている本研究の目的は、同館所蔵の各種アイテムの内、文字史・資料群(写本類を除く)の全体像を調査した上で、重要と思われる史・資料群についての整理作業(具体的には目録の作成)を行い、更に、特に重要と思われるものについては、複製(デジタル化を意図)を作成することで、その保存を図ることにある。
同館所蔵の文字史・資料群についてのこうした試みは、世界的に見てもこれまで全く行なわれた形跡がなく、従って、当該研究は、これまで全く知られていなかった貴重な情報を我々の共有財産として提供してくれるものである。のみならず、現在、日本が国家を挙げて取り組んでいるアフガニスタンヘの文化復興支援事業の一翼を担うものでもあり、その意味では、国際貢献の一端を示す好機でもある。