東南アジア島嶼部における国際移動に関する文化人類学的研究

事業名称
東南アジア島嶼部における国際移動に関する文化人類学的研究
実施地域・国
インドネシア
地域
アジア
事業実施機関
東京外国語大学
期間
1998年 ~ 2000年
協力の種類・事業区分
学術調査・研究
資金源
科研費

活動内容

 本研究は、インドネシアおよびフィリピンからの移民の流入が著しいマレーシア・サバ州を具体的な対象地域として、文化人類学の立場から東南アジア島嶼部地域の国際移動の実態を解明し、人の移動の分析を通じて文化・社会・国家の動態的把握を試みた。
 より具体的には、サバの先住諸集団、移動性の高い諸集団、植民地期の移民及び出稼ぎ労働者、サバ州政府の開発政策と出入国管理の歴史、に関する調査を実施し、以下の諸点を解明した。1)植民地期の中国及びジャワからの労働者及び移民の流入は植民地間の交易という性格を帯び、行政者によって管理されていたこと、またフィリピンからの技能労働者はおおむね強い凝集性を保ってきた。2)インドネシアからの移住者であるブギスは故地との紐帯とモスリムであることを政治的に活用し、サバ経済の草の根を支えるに至った。3)マレーシアとフィリピンにまたがる海洋民バジャウは、国境を活用した生活を営んでいるが、経済的に優位なマレーシアにおいて先住民としての神話を構築しつつある。4)先住諸集団は「文化協会」を結成して「民族」としての固有性を主張してきたが、その変遷は州政府の政治の動向と深く関わっている。5)サバ州の経済が依存する観光はエコツーリズムを基本とするが、これは森林破壊の帰結であり、かつ観光客、従業員両面における多民族状況の現出という点で、サバの縮図を提示する。
 これらの諸点は、「国際移動」が歴史的な連続性において捉えられるべき現象であることを示すと同時に、国家という制度が浸透する過程で「民族」が析出される過程を示している。また国家及び国境を「資源」とする生活戦略は、国家を考える上での発想の転換を迫るものといえよう。

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