若手研究(B) 建築史・意匠
2004年度:インドのアーメダバードに建設されたル・コルビュジエLe Corbusierの建築作品は4作品(3住宅、1美術館)であるが、建設されていない2計画案(2住宅)を含めて、その設計過程、それらの相互関係について、アーメダバードにおけるル・コルビュジエの建築制作に関する総合的なアーカイブ構築のため、ル・コルビュジエの建築図面集Le Corbusier Archives, Garland、ル・コルビュジエの手帖Le Corbusier Carnets, The Architectural History Foundation及びル・コルビュジエ財団Fondatio Le corbusierに保管される建築図面・書簡を収集整理し、また現地調査によって周辺環境状況を把握した。また当時ル・コルビュジエと協働した建築家B.V.ドーシBalkrishna V. Doshi氏へのヒアリングを行い、資料として残されていない建築設計の実像を明らかにすると同時に、当時アーメダバードにおける建設施工法の特殊性についても調査を実施した。
以上の資料収集整理に基づいて、張家山247号漢墓の全体像の見取り図を把握し、とくに、アーメダバードのショーダン邸Villa Shodhanの制作過程について詳細な分析を試み、ル・コルビュジエにおける敷地環境の解釈、既得の建築語彙のアーメダバードへの適応法などのいったんを明らかにし、建築意匠論的な手法による環境デザイン論の構築を試みた。また、ル・コルビュジエの建築語彙として「屋根」に着目し、その環境デザイン的な分析を試みた。
2005年度:アーメダバードにおけるル・コルビュジエの建築制作の全体像の見取り図を把握した前年度の成果に基づき、本年度はとくに、アーメダバードのサラバイ邸Villa Sarabhaiの制作過程について詳細な分析を試み、ル・コルビュジエにおける敷地環境の解釈、既得の建築語彙のアーメダバードへの適応法などの一端を明らかにし、建築意匠論的な手法による環境デザイン論の構築を試みた。さらにサラバイ邸と類似する建築形式であるパリのジャウル邸Maisons Jaoul邸の分析を試み、敷地の異なる二つの制作過程を比較検討することによって、インドにおける建築制作の特殊性、およびル・コルビュジエの建築制作における普遍性について考察した。
また、ル・コルビュジエの建築語彙として「屋根」に加えて「壁」に着目し、その環境デザイン的な分析を試みた。「屋根」は2類型に分類できるのに対して、「壁」に関しては5類型(「水平横長窓」「ガラス壁」「ロジア」「ビリーズ・ソレイユ」「クラウストラ」)に分類でき、全制作過程を分析した結果、ル・コルビュジエの後期建築制作においては、「壁」の透明化と非透明化が両義的にデザインされることが明らかになった。
一方、インドにおける伝統建築のル・コルビュジエの受容、デザインへの影響に関しては、アーメダバードだけではなく、チャンディガールを含めて分析を進め、フランスを中心とした建築制作とインドにおける建築制作の差異への影響について、調査を進めている。
近代建築における異文化の受容に関する環境デザイン論的研究
- 事業名称
- 近代建築における異文化の受容に関する環境デザイン論的研究
- 実施地域・国
- インド
- 地域
- アジア
- 文化遺産の分類
- 近現代建築
- 事業実施機関
- 広島大学大学院工学研究科
- 期間
- 2004年 ~ 2006年
- 協力の種類・事業区分
- 学術調査・研究
- 資金源
- 科研費