再建プロジェクトの背景
世界文化遺産カスビ王墓は東アフリカ・ウガンダ共和国の首都カンパラの郊外に所在する。共和国内にはトロ王国、ブガンダ王国など伝統的な地方王国が存在している。「カスビのブガンダ王国歴代王の墓」は4代のブガンダ歴代王を祀る王墓で、2001年に世界文化遺産に登録された。しかし、2010年3月16日に放火によって王墓の主要建物Muzibu-Azaala-Mpanga が全焼した。
この焼失の事態を受けて、ユネスコは同年に危機にさらされた世界遺産一覧表に記載し、その再建を図った。ユネスコ文化遺産保存日本信託基金は「ウガンダ・カスビ王墓再建事業形成ミッション」を派遣し、この成果に基づいてカスビ王墓の再建、危機遺産リストからの離脱及び効果的なリスク対策を目的にした再建プロジェクトに資金協力するとともに文化財修復の専門家派遣を行うことにした。
歴代王を祀るカスビ王墓は、ブガンダ族の精神的な拠りどころとして厚く信仰されており、焼失したMuzibu-Azaala-Mpanga は直径約30m、高さ約15mの巨大な円形木造茅葺きの建物である。日本には茅葺きの木造建物が文化財として数多く保存されており、その保存技術には長い経験が蓄積されている。日本の文化財修理の専門家が木造茅葺き建物であるカスビ王墓再建の技術協力を行うのは最適といえる。
なお、本来は木造であった王墓は1938年に英国によってコンクリート柱と鉄骨小屋組に変更されており、今回の再建に当たっては焼失前の構造で行うことになっている。
本事業は実施期間2013年3月1日より2016年2月28日までの3年間、事業予算は650,000US$の予定で行われている。