アチェの文字文化財
インドネシア、スマトラ島の北端、マラッカ海峡の入口に位置するアチェは、古くから東西交易の中継基地として栄え、東南アジアでイスラームを受容した最初(13世紀)の地域であった。アチェの王国は、イスラームの知識と文化を、東南アジアにおいて発展させる上で、大きな役割を果たし、「メッカのベランダ」と呼ばれるようになった。特に、マレー半島における強力な商業国家であったマラッカ王国の滅亡以後、イスラームの宗教活動や文芸活動に携わる学者がアチェに集まり、彼らの著作が、写本の形で残されることになった。アチェで生み出された歴史、法律、イスラームの教義や解釈、伝説に関する書物は、広く東南アジアのイスラーム化された地域に広がった。