人間が夢を託したアンコール・ワット
アンコール遺跡とは、アンコール期(802年頃~1431年頃)に、煉瓦・砂岩・ラテライト等で建設された、ヒンドゥー教や仏教の寺院とその祠堂、貯水池、橋梁などの膨大な数の建造物とその関連施設を指す。現在、カンボジア国内で約5010ヶ所が遺跡として登録されている。カンボジア北西部、シュムリアップ州のトンレサープ(湖)北西岸一帯に主として展開しており、有名なアンコール・ワットやアンコール・トムなど主要な63の遺跡が残る。1991年のパリ和平協定を経、1992年には世界遺産に登録された。上智大学を中心とするアンコール遺跡国際調査団は、1975年からのポルポト政府期を挟む所謂内戦期に、カンボジア人専門家が不慮の死を遂げ長く放置されていたこのアンコール遺跡群で、1980年からアンコール遺跡保護の活動、調査と研究、および人材育成を行ってきた。その方針は、学術性、多様性、継続性の3点に集約される。