カンボジアにおける文化遺産保護
カンボジアは東南アジア半島部のほぼ中央に位置し、東はベトナム、西はタイ、北はラオスと接する。アンコール文化遺産は802年から1431年までのクメール文化期に建造された石造物群を中心とする遺跡である。時代の変遷による王都の移動によって、いくつかの群に分けられるが、なかでも12世紀中頃建立のアンコール・ワットを中心とする一群が最も著名である。遺跡は砂岩とラテライトによって構成される石造建造物群が中心となり、アンコール・ワットやアンコール・トム、バイヨンが有名である。近年、これら石造建造物だけでなく、木造建造物の痕跡や道路や水路等も発見されてきている。
アンコール文化遺産は、1960年代より続く内戦の混乱によって維持管理の手が及ばなかったため、多くの遺跡で劣化崩壊が進んでいる。さらに内戦による遺跡保存官など遺産保護に当たる人材の激減や、政府機関の未整備と言った問題を抱えていた。内戦終結を受けて国際的な協力の下にこれら問題の解決と文化遺産保護を進めることが議決され、ユネスコを中心に各国の支援が進んでいる。