国際共同研究の経緯
我が国と朝鮮半島(韓半島)とは古より歴史的・文化的にさまざまな関係を持ち続けてきた。1999年、日本・大韓民国(以下韓国)両国における学術・文化交流と親善及び両国文化の共同研究を目的に、奈良国立文化財研究所(当時)と韓国国立文化財研究所は姉妹友好共同研究協約書を締結した。協約書の締結以前から両研究所間には頻繁に学術的交流があったが、協約を正式に交わしたことで継続的に研究員を派遣し共同研究を実施する体制が実現した。2005年にはそれを発展する形で独立行政法人文化財研究所(当時)と韓国国立文化財研究所が研究交流協約書を締結した。その後の組織改組により独立行政法人国立文化財機構が発足した後にも協約を継承し、毎年共同研究に取り組んできたところである。
奈良文化財研究所と韓国国立文化財研究所は、文化財について多彩な調査研究を行っている。どちらも古代都城遺跡を主なフィールドの一つとして発掘調査を行っていることが特色のひとつといえよう。そのような両研究所の共同研究には、大きく二つの柱がある。一つは「日本の古代都城並びに韓国古代王京の形成と発展過程に関する共同研究」である。もう一つはその一環ではあるが、国立慶州文化財研究所との発掘調査交流協約書に基づく共同調査である。以下それらを紹介しよう。