光り輝く国の文化遺産
6つの世界文化遺産を擁するスリランカ、これら数々の貴重な文化遺産はこの国が何世紀にも渡って周辺諸国の影響を強く受けながら発展を遂げた歴史を今に残している。
紀元前3世紀頃から仏教王国として栄え、その後は隣国インドや東南アジア、アラビア、ローマなどとの交流を通じてヒンドゥー教やイスラム教、キリスト教といった様々な宗教が伝播し、多民族・多宗教が共存する多様な文化を持つ独特な社会が構築された。こうした文化の混交と調和は、島国として固有の特徴を持つ文化遺産を生みだし、有形では建築、彫刻、絵画、工芸品、文学、無形では宗教儀式などが育まれた。豊富な文化遺産は現在でも仏教遺跡を中心に国を挙げて積極的に保護されており、また、保護するだけでなく、観光資源としても活用されている。
16世紀以降の西欧諸国による統治時代を経て、20世紀に入ってからは独立戦争、そして独立後には民族紛争が勃発した。紛争は2009年まで25年にわたって続き、北東部を中心に各地で悲惨な傷跡を残すことになった。こうして戦闘地域にある文化遺産は適切な保護・管理を受けることができないまま放置され、甚大な被害を受けた。
内戦はスリランカの主要な産業である観光にも打撃を与えた。我が国からも経済協力の観点から、世界遺産シーギリア遺跡の博物館整備を軸とした観光振興事業などの協力は進められていたが、北部は紛争終結後も状況が流動的であったため、近年まで立ち入ることができなかった。