本事業の背景
中央アジアは、シルクロードの中央に位置し、文化的に価値の高い史跡、遺産を数多く有する地域である。しかし、ソビエト連邦崩壊以後、それまで調査・研究をリードしてきたロシア人研究者が中央アジアを去り、その結果、指導的立場の専門家が不足し、文化遺産保護に携わる若手研究者が発掘現場や保存修復現場などで経験を積む機会が著しく減少している。
そのため、東京文化財研究所文化遺産国際協力センターは、文化庁の委託を受け、中央アジアの文化遺産を保護することを最終的な目的として、文化遺産保護に携わる中央アジアの若手研究者の育成を目指す本事業「文化庁委託事業 文化遺産国際協力拠点交流事業 キルギス共和国及び中央アジア諸国における文化遺産保護に関する拠点交流事業」を2011年に開始した。
本事業では、キルギス共和国を相手国とした。本研究所は、キルギス共和国の国立科学アカデミー歴史文化遺産研究所と以前から学術交流があり、事業の計画および実施が容易であったためである。