社会的背景
ユーラシアの歴史の中で常に重要な役割を果たしてきた騎馬遊牧民の起源は、いつごろ、どこに求めることができるのか。この問題を考古学調査によって確かめたいと考え、草原考古研究会のメンバーは、1980年代末から中央ユーラシアの草原地帯各地を訪ね回ってきた。それまで中央ユーラシアのほとんどの地域は社会主義圏に属し、西側諸国の研究者が現地調査をすることは不可能であった。しかし時あたかも中国では改革開放政策、旧ソ連ではペレストロイカが始まり、西側研究者との共同調査が現実のものとなろうとしていた。我々はユネスコ=シルクロード調査や、科研の様々な調査に参加しつつ、調査相手国を探した。