趣 旨
互いの差異を認め合い、弱い立場の人々を包摂するとともに、その過程を通じて新しい価値観を導き、私たちの社会を強くしていこうという動きは、それぞれの国や地域の政治や経済、文化や自然環境と関わりながら世界的な潮流となっています。また、その関心は同時代の社会へ向けられるだけでなく、過去の植民地支配などを通じて抑圧されてきた人々に対する認識の変化を求めるような歴史的な価値観の転換も促しています。「文化遺産」もそうした潮流と無関係ではありえず、その流れと様々な関係を取り結びながら利活用され、再認識されていると言えるでしょう。そしてそこにおいては欧米発の問題意識にとどまらず、それぞれの国や地域に応じた多様性めぐる課題や文脈もまた浮き彫りになってきているのではないでしょうか。
こうした潮流のなかで、「文化遺産は誰の、何のためにあるのか」。常に問われるこの問いを今回のシンポジウムでも意識しつつ、多様性をめぐる潮流と文化遺産を掛け合わせて考えてみたいと思います。
主 催
金沢大学
日 時
2022年1月30日(日)13:00-17:00 (12:30開場)
会 場
金沢大学サテライト・プラザ3階集会室
プログラム
はじめに:中村 慎一(金沢大学 新学術創成研究機構 機構長/教授)
趣旨説明:河合 望(金沢大学 教授) ・ 谷川 竜一(金沢大学 准教授)
基調講演:「多様化する世界遺産、 多様化する課題」
中村 俊介(朝日新聞大阪本社 編集委員)
発表1:「先住民文化遺産に対する認識およびその保護と活用―国際的な動向と日本の取組」
岡田 真弓(北海道大学観光学高等研究センター 准教授)
発表2:「ミュージアムの脱植民地化と文化遺産」
村田 麻里子(関西大学社会学部 教授)
発表3:「宗教遺産の保存と継承―北部九州カトリック教会堂の事例から」
福島 綾子(九州大学芸術工学研究院 准教授)
発表4:「南アジアにおける文化遺産とその特質」
上杉 彰紀(金沢大学古代文明文化資源学研究センター 特任准教授)
総合ディスカッション
閉会の挨拶:河合 望・谷川 竜一
参加費
無料・事前申込制
定員
70名(先着順)
申込方法
新学術創成研究機構(谷川 tryuichi@staff.kanazawa-u.ac.jp)へメールでお申し込みください。
問い合わせ先
新学術創成研究機構
谷川
tryuichi@staff.kanazawa-u.ac.