開催趣旨
日本の世界遺産条約の締結を契機に、1994年に開催された奈良会議で採択された「オーセンティシティに関する奈良ドキュメント」(奈良文書)は、その後の文化遺産の国際的な保存修復の考え方に大きな影響を及ぼしています。「奈良文書」は、遺産の価値として地域に根差した固有の性格や成立の背景を含めた文化の「多様性」を認めることで、世界文化遺産保護の規範である1964年の「ベニス憲章」が掲げた遺産のオリジナルな状態の厳密な保存を原則とした「オーセンティシティ(authenticity = 信頼できること、出所の正しさ)」の理念を拡大する方向性を示しました。これにより、世界遺産として保護の基準を満たさないことが懸念されていた木造建築を中心とした日本の文化財修復の方法を国際的に妥当なものとして位置付ける道筋がつけられるとともに、その後は建築遺産のみならず遺跡や景観を評価する考え方の一つとして受容され、さらにはアジアやアフリカなど非西洋世界の多種多様な文化遺産保護の正当性の説明にも応用されるようになっています。
本研究会は、本年が「奈良文書」の採択から30年の節目となる機会を捉えて、「奈良文書」が推し広げた「オーセンティシティ」の概念がこの30年間に世界の諸地域の文化遺産保護の現場でどのように理解され、いかに実践されてきたかについて、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの事例を通して概観し、その影響について議論する場とします。
プログラム
※プログラムは変更となる場合があります。
10:00-10:10
開会挨拶・趣旨説明
岡田 保良 (文化遺産国際協力コンソーシアム副会長/日本イコモス国内委員会委員長)
10:10-11:40
セッション1:ヨーロッパ
モデレーター: 西 和彦 (文化庁文化遺産国際協力室世界文化遺産部門 主任文化財調査官)
発表1
ベンジャミン・ムートン (歴史的記念物主任建築家、歴史的記念物名誉総監察官)
話題提供1
アレハンドロ・マルティネス (京都工芸繊維大学デザイン・建築学系 准教授)
話題提供2
坂野 正則 (上智大学文学部 教授)
ーー お昼休憩(80分) ーー
13:00-14:30
セッション2:アジア
モデレーター: 友田正彦 (文化遺産国際協力コンソーシアム事務局長)
発表2
呂 舟 (中国清華大学 国家遺産センター長)
話題提供3
ウーゴ・ミズコ (学習院女子大学国際文化交流学部 教授)
話題提供4
下間 久美子 (國學院大學観光まちづくり学部 教授/日本イコモス国内委員会副会長)
ーー 休憩(15 分) ーー
14:45-16:15
セッション3:アフリカ
モデレーター: 長岡 正哲(ユネスコナイロビ支部文化局 東アフリカ地域文化アドバイザー)
発表3
ジョージ・アブング(元ケニヤ国立博物館 館長)
話題提供5
岡崎 瑠美(芝浦工業大学建築学部 准教授)
話題提供6
長岡 正哲
ーー 休憩(15 分) ーー
16:30-17:25
パネルディスカッション
モデレーター: 河野 俊行(イコモス名誉会長)
コメンテーター: 西村 幸夫(國學院大學観光まちづくり学部 学部長)
パネリスト : 上記各登壇者
17:25-17:30
閉会挨拶
青木 繁夫 (文化遺産国際協力コンソーシアム副会長)
⽇時、会場、開催⽅法等
●⽇時 :2024年11⽉28⽇(木) 10:00 〜17:30 (開場 9:30)
●会場 :東京文化財研究所 地階会議室
(東京都台東区上野公園13-43)
●開催⽅法 :対⾯開催/オンライン配信
●定員 :
対面:50名(⼊場無料・事前申込制・先着順)
オンライン:無制限(事前申込制)
●言語 :英語
●主催 :文化遺産国際協力コンソーシアム、文化庁
●後援 :日本イコモス国内委員会
申込⽅法
事前申込制。下記フォームよりお申し込みください。
●申込締切 :2024年 11月 22日 (金)
その他
研究会終了後に報告書(講演録)を作成予定。PDF 版をコンソーシアムのウェブサイト上で公開。
お問合せ先 :
文化遺産国際協力コンソーシアム事務局
独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所 所内
Tel: 03-3823-4841
Fax: 03-3823-4027
E-mail: consortium_tobunken@nich.go.jp