2012年12月1日(土)に東京国立博物館平成館大講堂にて、文化遺産国際協力コンソーシアムシンポジウム「さまよえる文化遺産―文化財不法輸出入等禁止条約10年―」(主催:文化遺産国際協力コンソーシアム、文化庁)を開催しました。
開会挨拶とコンソーシアム紹介の後、2002年8月28日に放送された「NHKスペシャル アフガニスタン 至宝はよみがえるか」を再編集したもの(約10分)を上映しました。映像では文化財流出の現実と背景、またコンソーシアム初代会長の平山郁夫がアフガニスタンの文化財を流出から守るために取り組んでいた様子等が紹介されました。
最初の講演は、主催者である文化庁から、文化財部伝統文化課文化財国際協力室長の塩川達大様より「文化財不法輸出入等禁止条約と我が国の対応について」として、我が国の文化財不法輸出入の防止に向けた取り組みについてご報告を頂きました。
続いてイタリアのカラビニエリ文化財権利保護作戦班長のマッシミリアーノ・クアリアレッラ様より「文化財流出を防ぐ―イタリア カラビニエリ(国家治安警察隊)の取り組み」として、カラビニエリによる文化遺産保護活動を、美術品変造や不法輸出摘発の実際の事例とともにご報告いただきました。
次に奈良県警察本部文化財保安官の辻本忠正様より「かけがえのない文化財を守るために」として、奈良県警での文化財保安対策について事件が報道された際の新聞記事等を紹介しながらご報告いただきました。
最後の講演者として欧亜美術店主の栗田功様より「ガンダーラに於ける文化財の過去と現在」として、アフガニスタンなどの文化財が流出する国における教育の重要性と言った流出文化財問題の根底にある部分をご紹介いただきました。
すべての講演が終了した後、「文化財の不法流出防止と文化遺産保護」と題してパネルディスカッションを行いました。司会はコンソーシアムの前田耕作副会長が努め、講演者のクアリアレッラ様、辻本様、栗田様、また財務省関税局監視課課長補佐の五十嵐一成様にもパネリストとしてご登壇いただきました。五十嵐様から財務省の取り組みについて分かりやすい説明を頂いた後、来場者の皆様から頂いた質問表をもとにして活発な議論が展開されました。
当日は、寒く雨が降る中にも関わらず、たくさんの方のご参加いただきました。ご参加いただきました皆様におかれましては、厚く御礼申し上げます。
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