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第28回研究会(ウェビナー)「文化遺産とSDGs Ⅲ ―地域社会における文化遺産の役割を考える―」を開催しました

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文化遺産国際協力コンソーシアムは、2021(令和3)年1月31日(日)にウェビナー、第28回文化遺産国際協力コンソーシアム研究会「文化遺産とSDGs Ⅲ ―地域社会における文化遺産の役割を考える―」を開催しました。

本研究会は、2018年度より毎年開催してきた「文化遺産とSDGs」シリーズの最終回で、持続可能な地域コミュニティと文化遺産の双方向的な関係を考えることを念頭に、生業支援、教育、歴史的・文化的環境保全の観点から議論をする機会としました。

青木繁夫副会長(東京文化財研究所 名誉研究員)による開会挨拶・趣旨説明の後、チャンタソン・インタヴォン氏(女性技能開発ホアイホンセンター 代表)が「ラオスにおける女性技能開発のための伝統工芸技術の継承と普及」と題して講演しました。ラオスの伝統的な織物や様々な技法が紹介され、女性の自立支援を目的とする女性技能開発ホアイホンセンターの設立趣旨と研修(縫製・織り・染色)等が説明されました。活動を通じてラオス人自らが伝統工芸の価値に気付き、十分教育が受けられない女性たちがその現実を乗り越えて手に職をつけ自立するための取り組みとして報告されました。

次に、チア・ノル氏(アンコール人材養成支援機構(JST)代表)からは、「アンコール遺跡周辺地域の持続的発展のための地域支援活動および遺跡保全活動」と題し、アンコール人材養成支援機構(JST)の活動が報告されました。ポルポト政権下での自身の悲痛な経験や、難民としての日本滞在、カンボジアに戻って同機構を設立するまでの経緯と趣旨が説明されました。教育環境が不十分であった当時の状況を改善するために学校を設立し、伝統文化の理解を深めるため遺跡教育を実施するなど、遺跡周辺地域をカンボジア人自身の手で持続的発展につなげていくための取り組みが報告されました。

続く講演では、中村浩二氏(金沢大学 名誉教授/石川県立自然史資料館 館長)から、「持続的発展のための人材育成:世界農業遺産(GIAHS)「フィリピン・イフガオ棚田」と「能登の里山里海」の連携事業」と題した報告で、世界農業遺産の概要や里山里海という概念が持つ国際的な意義、イフガオと能登で展開している里山マイスター養成プログラムについて説明されました。両国の交流を地域の人材育成につなげ、地域活性化を図りながら棚田を保全する取り組みについて、若者の参画や少子高齢化の問題に触れながら報告がなされました。

これらの講演の後、飯田卓氏(国立民族学博物館 教授)の司会のもと、佐藤寛氏(アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が加わりパネルディスカッションが行われました。自分たちの文化を守るために、地域住民が主体性を持つことの重要性や、次世代へどのように継承していくのか、現状と課題について議論が交わされました。

最後に、佐藤氏によるまとめでは、これまでの「文化遺産とSDGs」シリーズを振り返り、本研究会の講演ハイライトが解説されました。利害の異なるアクター間の共通言語としてのSDGsには、環境・社会・経済の三つの側面があり、文化はそれぞれを支えながらバランスを取る要として大きな役割を果たしていること、SDGsは文化遺産と人々の生活を両立させていこうと努力する人たちをサポートする道具にもなり得ることが纏められ、研究会は無事終了しました。

当日は、134名の方にご参加いただきました。本研究会の開催にあたり、ご協力くださいました関係者の皆様、参加者の皆様にお礼申し上げます。

 

※研究会の開催概要・プログラムについては、こちらをご覧ください。

※本研究会の動画をYouTube上で公開しています。こちらをご覧ください。

※本研究会のQ&Aをウェブサイト上で公開しています。こちらをご覧ください。

[関連資料]

※本研究会の関連資料としてUNESCOが刊行した《Cultre| 2030 Indicators》の仮訳『文化|2030指標』をウェブサイト上で公開しています。こちらをご覧ください。

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