文化遺産国際協力コンソーシアム Japan Consortium for International Cooperation in Cultural Heritage JCIC-Heritage logo JCIC-Heritage

文化庁委託事業 文化遺産国際協力拠点交流事業 キルギス共和国及び中央アジア諸国における文化遺産保護に関する拠点交流事業

Networking Core Centers for International Cooperation on Conservation of Cultural Heritage Project “Training Workshop for the Protection of Cultural Heritage in Central Asia” 文化庁委託事業 文化遺産国際協力拠点交流事業 キルギス共和国及び中央アジア諸国における文化遺産保護に関する拠点交流事業

東京文化財研究所

キルギス共和国

アク・ベシム遺跡

2011年〜継続中 人材育成
2014/04/01
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BACKGROUND背景

本事業の背景

 中央アジアは、シルクロードの中央に位置し、文化的に価値の高い史跡、遺産を数多く有する地域である。しかし、ソビエト連邦崩壊以後、それまで調査・研究をリードしてきたロシア人研究者が中央アジアを去り、その結果、指導的立場の専門家が不足し、文化遺産保護に携わる若手研究者が発掘現場や保存修復現場などで経験を積む機会が著しく減少している。
 そのため、東京文化財研究所文化遺産国際協力センターは、文化庁の委託を受け、中央アジアの文化遺産を保護することを最終的な目的として、文化遺産保護に携わる中央アジアの若手研究者の育成を目指す本事業「文化庁委託事業 文化遺産国際協力拠点交流事業 キルギス共和国及び中央アジア諸国における文化遺産保護に関する拠点交流事業」を2011年に開始した。
 本事業では、キルギス共和国を相手国とした。本研究所は、キルギス共和国の国立科学アカデミー歴史文化遺産研究所と以前から学術交流があり、事業の計画および実施が容易であったためである。

遺跡の測量実習

出土遺物(土器)の実測実習

発掘実習

ACTIVITIES活動内容

本事業の概要

 本事業は、キルギス共和国国立科学アカデミー歴史文化遺産研究所および奈良文化財研究所と共同で、文化遺産保護に携わる中央アジアの若手研究者の育成を目指す事業である。
 具体的には、キルギス共和国チュー河流域の中世都城址アク・ベシム遺跡(古代名スイアーブ)を実習地に、「ドキュメンテーション」、「発掘」、「保存修復」、「史跡整備」の4つをテーマに一連の人材育成ワークショップを四年間継続して行うことを計画している。この4つのテーマを学ぶことにより、研修生が考古学や保存修復、建築といった一分野だけではなく、文化遺産保護に必要な幅広く総合的な知識を習得することを目指している。また、中央アジア五カ国から研修生を招聘することによって、文化遺産保護に携わる中央アジア若手研究者の間にネットワークを構築することも目的としている。
 2011年度には、「文化遺産のドキュメンテーション」をテーマに「遺跡の測量」と「遺物の実測」に関するワークショップを計2回実施し、トラヴァース測量や水準測量、地形図の作成、土器や石器、土製品の実測、遺物の写真撮影などの研修を実施した。
 2012年度には、「発掘」と「保存修復」をテーマに年2回の研修を実施し、発掘の方法、遺構の実測・写真撮影、遺物の実測・写真撮影、脆弱遺物の取り上げ、土層の剥ぎ取り、金属製品の保存修復、土器の復元などに関する研修を実施した。
 2013年度には、「発掘」、「保存修復」および「史跡整備」をテーマに年2回の研修を企画している。すでに、8月27日から9月12日にかけて一回目のワークショップを実施し、発掘実習、保存修復実習、史跡整備に関する講義などを実施した。2回目のワークショップは2014年の2月中旬に計画している。
 これら過去5回の研修には、中央アジア五カ国のみならず、アフガニスタンやアルメニアからも若手研究者が参加し、受講した研修生の述べ人数は50名を超す。
 最終年度の2014年度には「史跡整備」をテーマに同様の研修を実施する予定である。

脆弱遺物の取り上げ実習

出土遺物の写真撮影実習

RESULTS結果

今後の課題

 すでに計5回の研修を実施したが、研修を通じ、中央アジア若手研究者の経験不足を痛感した。ソビエト連邦時代に教育を受けた40代、50代の専門家と比較すると、20代、30代の若手研究者は、知識・経験・技術において大きく見劣りすることは否めない。
 しかし、中央アジアの若手研修生は、今回の一連の研修に対し非常に意欲的で、進んで技術を身につけようとしていた。これに対し、人数も少数のため、研修内容に関して、細やかに対応することができた。特に保存修復に関する研修については、保存修復の専門家が国内に皆無のため、斬新に映ったようで好評であった。また、研修の場を通じて、中央アジア五か国の若手研究者の交流が芽生えたことは成果の一つである。
 中央アジアでは、来年度、シルクロード関連遺跡の世界遺産登録を控えている。しかし、世界遺産候補の史跡では、史跡のドキュメンテーションや史跡整備が追い付いていない状況である。そのため、中央アジア側からは、2014年度以降も同様の研修の継続を望む声が寄せられている。
 今後とも、中央アジア各国に対し、文化遺産保護分野における継続した支援が必要である。

金属遺物の保存修復実習

土器の復元実習

MAP地図