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国立民族学博物館・滋賀県立琵琶湖博物館における国際協力・研修:JICA集団研修「博物館学」コース

International cooperation and training at the National Museum of Ethnology and Lake Biwa Museum JICA group and region-focused “Comprehensive Museology” 国立民族学博物館・滋賀県立琵琶湖博物館における国際協力・研修:JICA集団研修「博物館学」コース

国立民族学博物館

複数地域・国

特定の遺産によらないもの・遺産位置の特定できないもの

2012年〜2015年 人材育成
2014/04/01
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BACKGROUND背景

JICA集団研修「博物館学」コース開催の背景

開発途上国・地域の博物館のための人材育成
 多くの途上国・地域において、開発と経済成長を最優先するあまり、自国の文化・自然遺産が適切な保護を受けずに失われている現状がある。このようななか、博物館は、文化遺産を収集、保存、展示することで、国家・民族としてのアイデンティティを確立する場となり、またその地域の文化を世界に紹介するという重要な役割をもつ。博物館が、観光振興の要として、地域経済の成長に貢献しているという事実も見逃せない。さらには教育施設、あるいは戦乱など災害からの復興拠点としての博物館の役割も大きい。しかしながら、博物館学の理論と実践について総合的に研修できる場は世界的に見ても限られていた。

「博物館学」コースの前身
 国立民族学博物館では、JICAより事業委託を受け、滋賀県立琵琶湖博物館とともに、2012年度から3年計画で「博物館学」コースを企画・運営・指導している。これは、研修対象を博物館実務の担当者に特化した、実践的な技術を学ぶ研修であり、前身の「博物館学集中コース」(2004~2011年度)に較べ、各国の観光関連分野プログラムとの連携を強化している。これらのコースに先立つ1994~2003年度には広い視野にたって観光事業の推進、教育文化活用の拠点作りに貢献できる、博物館の管理・運営に携わる指導的立場の人材の育成を目的に、JICA(国際協力機構)が主宰し、国立民族学博物館が中心となって「博物館技術(収集、保存、展示)コース」を実施していた。

博物館学関連コースの参加者状況(1994~2013年現在)

2013年度JICA集団研修「博物館学」コースの参加者

ACTIVITIES活動内容

「博物館学」コースの概要

コースの目的と参加資格
 「博物館学」コースの目的は、博物館運営に必要な、収集・整理・保存・展示・教育に関する実践的な技術を修得し、博物館を通じて途上国の文化振興に積極的に貢献できる人材の育成である。応募できるのは、収集・ドキュメンテーション・保存・展示企画・教育・その他の関連分野で3年以上の実務経験を持つ博物館活動の専門家で、各国政府の推薦を受けた人である。大学卒業もしくは同等の学力を有し、原則として25才以上46才以下の人を対象としている。英語の会話と読み書きが十分にできることも条件となる。2013年度は、アルメニア・エクアドル・エジプト・グアテマラ・パレスチナ・ペルー・ミャンマーから10名の研修員を受け入れた。

研修プログラム
 研修は、博物館活動全般に関する講義、実習、研修旅行等からなる共通プログラム(約10週間)と、週毎にテーマを選択する個別研修プログラム(3週間)とで構成される。2013年度は、1週目は「予防保存」「展示デザイン」「写真」、2週目は「資料の保存と修復」「博物館と地域コミュニティー」「民族誌映像の撮影と編集」、3週目は「考古資料の発掘と保存管理」「地域歴史博物館の運営」「記録とデータベース」からの選択であった。研修員には、自国の博物館事情(ミュージアムレポート、公開フォーラム)や自身の専門分野(専門レポート)に関する発表の機会があり、またディスカッションの時間を通じて、双方向の交流が求められている。

滋賀県立琵琶湖博物館

共通プログラムでの実習(滋賀県立琵琶湖博物館、2013年度)

RESULTS結果

国際協力・研修の新たな展開

国際的ネットワークの構築
 国立民族学博物館は世界各地でフィールド調査をおこなう研究者を60名あまり有し、それぞれの国や地域における十分な研究や情報の蓄積を持ち、また単発的でなく持続的な協力関係を築ける環境が整っている。1994年からの20年間、博物館学関連コースで受け入れた研修員とオブザーバーは55カ国206人にのぼり、国際的ネットワークが形成されている。これらの国のなかには、研修修了者を軸に国内ネットワークがつくられたり、研修修了者が自国の博物館学や博物館活動の中核的・指導的な立場を担ったりするところもあらわれてきた。互いに協力して博物館を通じた国際交流を促進し、新たな展開をはかる基盤が整ってきた。

「アジアにおける新しい博物館・博物館学創出のための研究交流」
 国際的ネットワークの新たな展開として、国立民族学博物館では、2012年度から3年計画で、日本学術振興会(研究拠点形成事業B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)「アジアにおける新しい博物館・博物館学創出のための研究交流」を進めている。このプロジェクトでは、タイ、ミャンマー、モンゴルで博物館学の教育研究を行い、博物館活動の中核をになう研修修了者や専門家と協力のもと、アジアの文化的・社会的背景に即した博物館学・博物館研究の創出と、これらの国ぐににおける自立的・持続的な博物館活動と人材育成の基盤形成を目指している。2012年度のモンゴルに続き、2013年度は9月にミャンマーで共同研究会と公開セミナーを開催した。

専門レポートの発表とディスカッション(国立民族学博物館、2013年度)

公開フォーラム「世界の博物館2013」(国立民族学博物館、2013年5月25日)

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