開催趣旨
2019年4月に発生した、パリの象徴であるノートルダム大聖堂の災禍は、未だに私たちの記憶に新しくあります。この火災によって木造の尖塔や屋根が全焼したことにより、当初はまったく新しい建築デザインでの再建が計画されるなど、大きく失われた部分をいかに修復すべきか?という「モニュメント(monument = 欧州諸国における文化的・歴史的な価値をもつ建物等の有形物の総称)」の保存の根本にまで立ち返る議論を呼び起こしました。一方で、結果的に木造での復旧となった修復工事で、発災前に作成されていた精密な3Dデータが崩落した部材の元位置の特定や補足材での再現などに積極的に活用され、「モニュメント」の修復技術に新たな可能性を示しました。
奇しくも本年が採択30周年にあたる奈良文書は、東アジアを中心とした木造建築文化圏の伝統的な修復技術が「モニュメント」の価値を根拠づける「オーセンティシティ(authenticity = 信頼できること、出所の正しさ)」の保障に資することを高らかに謳い、その後の文化遺産の「オーセンティシティ」概念の拡大に大きな貢献を果たしてきました。本シンポジウムでは、災禍から復興したノートルダム大聖堂が本年12月に一般公開される機会を捉え、「モニュメント」保存の長い歴史と伝統をもつフランスにおいて、木造の復旧を中心とした今回の修復工事において「オーセンティシティ」がどのように認識され、実際の修復方法にいかに適用されたかを振り返るとともに、奈良文書が提起した木造建築や修復技術の「オーセンティシティ」が今回の修復工事の考え方や修復方法にどのような影響を与えたか、日中仏の専門家による議論を通じて展望します。
プログラム
※プログラムは変更となる場合があります。
13:00-13:05
開会挨拶
青柳 正規(文化遺産国際協力コンソーシアム会長)
13:05-13:20
趣旨説明
13:20-14:20
基調講演
フィリップ・ヴィルヌーヴ(ビデオ出演)
(ノートルダム大聖堂 ACMH、歴史的記念物主任建築家)
ベンジャミン・ムートン
(歴史的記念物主任建築家、歴史的記念物名誉総監察官)
ーー 休憩(10 分) ーー
14:30-15:00
講演1
田原 幸夫(京都工芸繊維大学客員教授)
15:00-15:30
講演2
呂 舟(中国清華大学 教授)
ーー 休憩(10 分) ーー
15:40-16:40
パネルディスカッション
モデレーター: 稲葉 信子(筑波大学名誉教授)
パネリスト : 上記各登壇者
ゲストコメンテーター: ジョージ・アブング(ケニヤ国立博物館元館長)
長岡 正哲(ユネスコナイロビ支部文化局 東アフリカ地域文化アドバイザー)
16:40-16:45
閉会挨拶
岡田 保良 (文化遺産国際協力コンソーシアム副会長)
⽇時、会場、開催⽅法等
●⽇時 :2024年11⽉30⽇(土) 13:00 〜16:45 (開場 12:30)
●会場 :東京富士大学 二上講堂
(東京都新宿区下落合一丁目9番5号 高田馬場駅より徒歩7分)
●開催⽅法 :対⾯開催/オンライン配信(YouTube)
●定員 :
対面:200名(⼊場無料・事前申込制)
オンライン:無制限(事前申込制)
●言語 :日本語・英語(同時通訳有)
●主催 :文化遺産国際協力コンソーシアム、文化庁
●後援 :外務省、国際協力機構、国際交流基金、日本イコモス国内委員会
申込⽅法
事前申込制。下記フォームよりお申し込みください。
令和6年度文化遺産国際協力コンソーシアム シンポジウム申込フォーム
●申込締切 :2024年 11月 22日 (金)
その他
研究会終了後に報告書(講演録)を作成予定。PDF 版をコンソーシアムのウェブサイト上で公開。
お問合せ先 :
文化遺産国際協力コンソーシアム事務局
独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所 所内
Tel: 03-3823-4841
Fax: 03-3823-4027
E-mail: consortium_tobunken@nich.go.jp