Column文化遺産コラム
世界の文化遺産国際協力の前線から~文化遺産保護における日本の貢献~
2024年02月14日
文化遺産国際協力のいま 藤井 郁乃
東京文化財研究所/文化遺産国際協力コンソーシアム事務局 アソシエイトフェロー
2023年度シンポジウム「世界文化遺産の50年:日本の貢献のこれまでとこれから」の会場で行った特別展示「世界における文化遺産国際協力と日本の貢献」のポスターをご紹介いたします。皆様に、日本の組織や日本人専門家が日々取り組んでいる、海外の文化遺産保護への幅広い貢献の姿を知っていただく機会となれば大変嬉しく思います。
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日本が行う世界各地での文化遺産国際協力
文化遺産は、社会や地域がアイデンティティの拠り所として大切に守り伝えてきた、かけがえのない存在である一方、世界中には自然的・人為的な理由から継承の危機に瀕している文化遺産が数多く存在しています。
日本は、長年の経験を通じて蓄積された文化財保護の知識や技術を生かして、自然災害や武力紛争といった要因によって破壊や消滅等の危機に瀕する文化遺産を救済するための国際的な協力を推進してきました。
例えば、2001年に起きたタリバーンによるアフガニスタンのバーミヤーン大仏の爆破は、文化遺産に関わる者のみならず、世界中の人々に大きな衝撃を与えました。この事件を受けて、外務省はユネスコと連携し、政府開発援助の「一般文化無償資金協力」の枠組みのもとで、バーミヤーン遺跡の復旧復興に向けた支援を続けています。
また、文化庁の「文化遺産保護国際貢献事業」は、各国が自らの手で文化遺産の調査研究や保存修復等を行い、後世に継承していけることを重視し、現地の拠点となる機関や人材の育成を支援する「文化遺産国際拠点交流事業」を継続的に実施するなど、日本人専門家の派遣と現地専門家の協力体制に基づいた支援が進められています。
このほか、国際協力機構(JICA)が行うプロジェクトに加えて、民間財団や各大学が独自に行うプロジェクトもあり、日本中の様々な組織やステークホルダーが関わって、世界中で文化遺産保護に関わる幅広い活動が展開されています。
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幅広い活動に関するポスター展示
文化遺産国際協力コンソーシアムでは、その時々のホットトピックをテーマとしたシンポジウムを年に一度開催し、一般の方を含め広く参加を呼びかけています。2023年度シンポジウム「世界文化遺産の50年:日本の貢献のこれまでとこれから」は、500名以上の方から事前の参加申込があり、コンソーシアムの設立以来、最も注目を集めたイベントの一つとなりました。(シンポジウムの詳細はこちらからご覧いただけます)
前述した日本の文化遺産国際協力という観点からみれば、コンソーシアム委員の多くが、それぞれの専門知識を生かして海外の文化遺産保護活動に関わっています。またコンソーシアムに関わりがある組織も、それぞれの立場から文化遺産保護を推進しており、その活動の内容や地域は多岐に渡っています。このような多様な協力のあり方を多くの方に知っていただくべく、シンポジウム会場のホワイエを利用して、コンソーシアムの分科会や関係組織の活動を紹介する「世界における文化遺産国際協力と日本の貢献」と題した特別展示を行いました。
ここでは、実際に会場で掲示したポスターをご覧いただけるように用意しました。作成したポスターはA0版で、文化遺産国際協力コンソーシアムの6つの地域分科会から1本ずつと、3つの関係組織からそれぞれ1本ずつ、計9本のプロジェクトを紹介しています。各執筆者・タイトルは以下の通りです。
皆様に、日本の組織や日本人専門家が日々取り組んでいる、海外の文化遺産保護への幅広い貢献の姿を知っていただく機会となれば大変嬉しく思います。
※各ポスターの画像をクリックいただくとPDFデータが表示されます。(ポスター作成:藤井 郁乃、田中 美和) -
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